【友だちという呪縛~ボッチ上等~】8「仲良くしなさい」は間違ってはいないけど‥

現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。

中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、

決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。

そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。

 

今は、子どもたちの中にある『友だちはいなければならない』というこだわりの強さについて、考えています。

どうして『友だちはいなければならない』というこだわりを持ってしまうのでしょうか?

それを考えるキーワードとして、『日本の子どもたちが、周囲からよく掛けられている言葉』を取り上げました。

①『迷惑かけない』 ②『早くしなさい』『仲良くしなさい』の3つです。

 

このうちの2つについては、前回お話しました。

今回は『(みんなと)仲良くしなさい』という言葉の重さについて考えます。

毎年、年が変わると聞こえてくるCMソング【友だち100人できるかな】は、決して他意はないと思いますが、この言葉が胸に刺さる子どももいる

ことに、みなさんはお気づきでしょうか?

大人ならば、『みんなとは仲良くなれない』なんてことは、承知しています。

その上で、上手にお付き合いすることが、場合によっては『大人ですね』と評価されることもあるでしょう。

しかし、子どもはどうでしょうか。

小さな子ほど、「みんなと仲良くできない私がいけない」と、自分に対してネガティブな評価をし、そのことで悩んでしまうという場合もありま

す。

ですから、そんな子が相談に来たときに、「スクールカウンセラーの先生は、みんな好きなの?暗いな人っているの?」と尋ねられたときに、

「もちろん嫌いな人なんているに決まってるじゃん。むかつく人もいるよ」と応えると、本当に目を丸くして驚きます。

そして、「いいの?」と訊くので、「もちろんいいよ。大丈夫だよ」とさらに応えると、ホッとした笑顔を見せてくれます。

『(みんなと)仲良くしなさい』って、本当に罪な言葉ですよね。

もちろん、多くの人と仲良くできるというのは、素晴らしいことと思います。

心が通じ合う人と出会えて、夢や希望について熱く語り合うというのは、人生の大きな喜びとも言えるでしょう。

しかし、それを子どもたちに要求しないでほしいのです。

子どもは、とりわけ小さな子はいわゆる『本音と建て前』なんて、使い分けられません。

(転居のご挨拶に「お近くへおいでの節は、ぜひお立ち寄りください」という記述を真に受けて、訪ねるという大人はまずいませんよね。そんな芸

当を、子どもに要求されても、彼らが悩むことになるのではないでしょうか)

 

ただし、子どもたちには次のような話を付け加えます。

『自分が苦手だなぁと思う人と仲良くできなくてもしかないよね。だけど、その人が正しいことを言って、正しいことをやっていたら、それを応援

してあげようよ。そのときに、「あの人は嫌いな人だから、助けたくない」っていうのは、ちょっと悲しいなぁ。分かってくれる?』と尋ねると、

みんなが納得してくれます。

このことは、子どもばかりではなく、大人の世界にも言えることではないかと考えます。

 

いかがでしょうか?

次回に続きます。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。