【友だちという呪縛~ボッチ上等~】7三題噺「迷惑かけない」「早くしなさい」「仲良くしなさい」

現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。

中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、

決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。

そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。

 

前回は、『性格が悪いから、友だちができないの?』という中学生女子の相談を取り上げ、これらの根底にあるものについて考えてみました。

そして、子どもたちに共通している(大人にも)『友だちはいなければならない』というこだわりの強さに圧倒されています。

どうして『友だちはいなければならない』とのこだわりを持ってしまうのでしょうか?

さまざまな理由・要因があるかと思いますが、その一つとして、子どもたちが育ってきた環境の影響が大きいのではないかと書考えます。

そこで、前回クイズを出しました。

『日本の子どもたちが、周囲の大人から、よく掛けられている言葉とは、何だと考えられますか?』

考えていただけましたか?

 

そうした調査のエビデンスはありませんが、子どもたちや保護者のみなさんと、長年関わってきた経験からすると…

①『迷惑かけない』

②『早くしなさい』

③『仲良くしなさい』

の3点ではないかと思います。

 

いかがでしょうか。

今、お子さんを養育されている方、以前養育されていた方、ちょっとご自分の言葉かけを振り返ってみてください。

①遥か昔、中学校教師としてヤンキーたちと関わってきた者としては、トラブルが起こり、彼らを指導していると「迷惑かけなければ、何をやって

もいいと、親から言われた」という言い訳を耳にしました。

(もちろん、言い訳になっていません。保護者の方は、そんなこと言われていませんし、大体迷惑がかかっているのが大半です)

しかし、お子さんが(成人であろうとも)不祥事を起こしたときに、テレビカメラの前で謝罪する著名人の姿を見ると、『迷惑かけない』という言

葉の重さも分かるというものです。

しかし、これは『友だちはいなければならない』とは、あまり関係がないようです。

②子どもたちに尋ねてみると、一日のスタートは、この言葉と始まるようです。

『早く起きなさい』『早くご飯食べなさい』『早く用意をしなさい』『早く学校へ行きなさい』と言われ続けて、学校へ着くと‥

今度は『早く準備しなさい』『早く提出物を出しなさい』『早く教室移動をしなさい』‥と続き、子どもたちが言うように、『早くしなさい』がエ

ンドレスで続いていきます。

実際、今こう書きながら、私自身その思いをさらに感じました。

子どもたちは、本当に忙しいですね。

しかし、これも『友だちはいなければならない』とは、あまり関係がないようです。

 

もう、お分かりですね。

『(みんなと)仲良くしなさい』という言葉の重さを感じられていますか?

毎年、年が変わると聞こえてくるCMソング【友だち100人できるかな】は、決して他意はないと思いますが、この言葉が胸に刺さる子どももいる

ことに、みなさんはお気づきでしょうか?

 

次回、このことについて考えたいと思います。

よろしくお付き合いください。

 

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。