不登校について考えましょう ⑩社会性が育たない-思考の偏りの怖さ

(今年の夏、名古屋駅前のKITTEでの盆踊り会場です。妖怪がうようよ)

 

現在『不登校』について考えています。

第1回は、 「様子を見ましょう」とはどういうこと?

第2回は、 気持ちは、言葉にしなければ伝わらない

第3回は、 子どもや保護者と世間話ができる関係づくり

第4回は、 たくさんの子どもたちが、学校へ行っていないようだけど、どうなってるの?

第5回は、 不登校の理由は、不登校児童生徒自身でも分からない (不登校の特徴①)

第6回は、 不登校の理由は千差万別・十人十色 (不登校の特徴②) について考えきました。

第7回は、 不登校の子どもたちの悩み について考えました。

第8回は、 「不登校」の子どもたちは、学習の遅れを心配している について考えました。

第9回は、 「ひきこもり」になるのでは?という不安 について考えました。

そして、今回は「社会性が育ちにくい」ということを考えます。

私自身が教員の時に、こんなことを体験しました。

私が管理職として、中学校に勤務していた時に、1年のときから不登校傾向の強い男子生徒がいました。家庭の事情で、母親がこの子の面倒をみる時間があまりないため、週に1回は担任のところへ、そしてもう1回は私のところへ来て、数学というよりは四則演算や九九、漢字の書き取りの練習をしながら、「今はどんなゲームをしているの?」といった世間話をしていました。3年生のある日、いつもと同じように勉強していたところ、選挙カーからの音声が聞こえてきました。ちょうど、統一地方選挙戦の最中でした。「うるさいね」と私が言ったところ、彼はうなづきましたが、しばらく経った後、真顔で「朝鮮人は殺してもいいって知ってた?」と話しかけてくるので、びっくりしました。即座に「何をバカなこと言ってるの。人を殺していいなんてことないに決まっているでしょ」と言うと、「だって、みんな言ってるよ」と言うので、「誰がそんなこと言ってるの?」と問うと、「ネットの中の人たち」と答えるので、何となく話が見えてきました。

いかがでしょうか。

どんなことを思いましたか?

私は、このように考えました。

生徒は学校を休み、毎日家に一人でいる生徒しては、退屈なのでゲームやSNSを頼ることとなります。毎日その繰り返しの生活とな

ると、彼のもとに届く情報は「エコチェンバー現象」となり、生徒としては「世界中の人みんながそう言っている」と信じてしまうわ

けです。学校教育を満足に受けていないので、自分のところに届いた情報の信ぴょう性を疑ったり、冷静に判断することが苦手です。

もしSNS以外の場面で、他の子・人と触れ合っているならば、彼の意見に「何をバカなことを言っているんだ」と言う生徒も現れ

て、トラブルが生じるかもしれませんが、彼の中に「あれっ?今まで正しいと思っていたことが、正しくないかもしれない」という、

思考や心情にゆらぎが見られると思いますが、残念なことに毎日同じ種類の情報に接している彼としては、どんどん自分の思考や心情

に凝り固まっていくと考えます。 

これは、とても怖いことではないでしょうか。

そこで、お母さんにこのことをお話して、家での過ごし方について考えていただくとともに、学校以外でも構わないので、外の世界で

過ごす機会や場面を増やしていこうと、話し合いました。

本来ならば、学校で過ごしているはずの時間でも、家族で出かけるとか、ちょっと親しい級友とコンビニや公園へ行ってみるとか、

「学校へ行けていないから○○してはダメ」ではなく、「○○してみよう」といったことの具体策について話し合いました。

もちろん、登校できればそれで良いのまですが、「まだしばらくは無理」という時に、不登校の生徒の世界を広げる活動をさせていき

たいと考えました。

 

不登校をその表面上の事象ばかりでなく、関係した子どもたち(大人も含めて)の言動や気持ちも含めて考えることの大切さ、逆に言

えば恐ろしさを分かっていただけたのではないかと思います。

次回は、そうした偏った心情の子どもたちが陥りやすい「ネガティブ思考」をどうするかについて考えていきます。

よろしくお付き合いください。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ

ェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

次回のリアルは、9月19日に行います。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。