未来の教員を目指す学生と関わって3部⑪

この連載の第1シリーズとして、発達障害を中心とした【学級・学校に適応することが難しい子どもとの係り】について、また第2シリ

ーズとして【学力差がある集団への係り】について、教員を目指す彼らが抱えている不安について考えてきました。

今シリーズでは、【一見仲良さそうに見えるなれあい集団内部への係り】について、考えていきます。

 

子どもたちは、活発に楽しそうににぎやかに活動しています。

しかし、このグループ内では、外から伺えられない『人間関係のトラブル』が生じていることがよくあります。

 

そうしたトラブルを防ぐために、『公的なグループを子どもたちが話し合って決めることで、私的なグループ内での一人または特定の子

どもに対する高い依存を、相対的に引き下げる』ことを目指し、その具体的な手立てについて考えています。

そのためには、『自分たちのことを自分たちで考え、話し合い、決める』という一連のルーティンを習慣化することが大切と考えます。

そうすることで、『野外学習』『遠足』等のチームづくりでも、自分たちで話し合い、決めていくことになります。

普段の『理科の実験の班』等での少人数編成に手間をかけずに、大きな行事の時だけ子どもたちに考えさせても、今までそうした【力】

が育っていなければ、不毛の話し合いになるのではないでしょうか。

 

では、次にそうした【力】を育てるための具体的な手立てについて考えましょう。

①学級の出来事を自分事として、とらえさせる

前回でもお話しましたが、ぜひとも、子どもたちに学級のことを、自分事ととらえさせましょう。

そうすることで、『自分たちのことを自分たちで決める』等と言う姿勢や雰囲気が生まれてくると考えます。

このことについて、さらに具体的な方法を考えていきましょう。

〇『あなたはどうするの?』は、魔法の言葉

前回取り上げた『学級の目標づくり』は、まず最初に学級全員に、「どんなクラスにしたいか」と尋ねることから始まります。

そして、それらについて話し合ったり、多数決をとったりして、一つに絞っていきます。

こうした方法が一般的ですが、ここには大切なことが欠落しているように思います。

それは、こうして決まった『学級の目標』=『こんな学級にしたい』に対して、一人一人の子どもがどのようにアプローチするかが明確

でないことです。

「明るいクラスがいいなあ」「助け合えるクラスがいいなあ」「仲がいいクラスがいいなあ」と、一人一人が希望を語ることは何も問題

ではありません。

しかし、ただ言いっぱなしで終わることはないでしょうか。

もしそうならば、せっかくの『学級の目標づくり』も、『他人事』になってしまわないでしょうか。

その結果、みなさんに最初にお尋ねしたように、『学級の目標』が思い出にも残っていないということになるのではないでしょうか。

そこで、『理想のクラスにするために、あなたはどうするの?』と、一人一人に考えさせ(当事者意識を持たせる)ましょう。

この「あなたはどうするの」は、『他人事』を『自分事』へ変える、魔法の言葉と考えます。

 

ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケー

ションカフェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをごらんください。