子どもたちの置かれている状況15

彼女は、この適応教室に来ている子どもたちの中では、キャラが違います。

一口に不登校と言っても、その理由・原因は千差万別であり、100人の不登校の子どもがいたら100の理由があるというのは、以前お話したとおりです。彼女は、もともと人と関わりあうことが嫌ではありません。ヤンキー少女グループ内でのトラブルではじき出された結果、学校へ行けなくなったわけですが、それ以前は休まず登校していました。3学期も「進路のため」と割り切って登校していたくらいです。

ですから、「級友とのかかわり合い」が少ない単位制の高校が、果たして彼女にとって良かったのでしょうか。もちろん成績等さまざまな条件から高校進学を考えると、他に選択肢はなかったのですが。

そんなことを考えているうちに、彼女が適応教室に顔を出しました。

何の屈託もない明るい顔でした。「今は、プーだよ」と言います。「もうっ」「だから…」と口々に言う私たちに、「ちょっと話聞いてよ」と言い、「今はプーだけど、来年の4月から夜間の美容学校へ行く。お母さんと約束した」と言います。

またまた驚く展開です。「美容師になりたい」は、将来の希望を尋ねられて困った挙句に口走ったと思っていましたが。

そして「高校はやめさせられたのではなくて、自分でやめたんだよ」と言います。「どうして?」という我々の質問に対して、「私のいるところじゃないと思ったから。勉強好きじゃないし…」

彼女は、自分の居場所を彼女なりに探していたのです。

そして、翌年の4月から美容学校へ通い始めました。