子どもたちの置かれている状況 7

前回、お話した「主となる理由ではなくきっかけ」について、詳しく考えてみたいと思います。

(文字でうまく説明できるか不安ですが)みなさんの頭の中に、丸い円盤を想像してみてください。(レコード盤やCDのようなものです)安定した環境で生活している子どもは、その中心近くにいると思います。ですから、外界から理不尽な仕打ちを受けても、中心から外へ少し移動するだけです。その後、彼らをサポートしてくれる「チカラ」が働けば、再び中心部に戻っていくと考えます。

しかし、残念なことにさまざまな条件により、不安定な環境にいる子どもはどうでしょうか。彼らは、もともと不安定な場所(円盤の外近く)にいます。ですから、外界からの不合理な仕打ちによって、その円盤から落っこちてしまう可能性があります。

もしも、かれらが落っこちたとしたら、「その本当の理由」は何でしょうか。理不尽な不合理な仕打ちですか?いいえ、私は違うと考えます。そもそも「円盤の外近くの不安定なところにしかいられなかった」ということが問題ではないでしょうか。

こう考えてくると、子どもたちをとりまく問題はなかなか一筋縄ではいかないことが分かってきます。

私は、適応教室に勤務していたときに、入所希望の子ども・保護者のインテーク(入所)面接を、1年に150件以上おこなってきましたが、「○○くんが僕の悪口を言ったから、学校へ行けない」というテンプレートのような不登校理由は、滅多に見かけませんでした。

子どもたちは、もっと複雑な環境の中で、必死に生きているのです。