子どもたちの置かれている状況 8
さて、例の中学3年で不登校の適応教室に通所していた彼女の話に戻ります。
「美容師になりたい」と言ったものの、だからといって自分から何かに取り組むというやる気もエネルギーも、残念ながら持ち合わせていない彼女は、そのままボッーとして夏が過ぎ、2学期も半ばとなりました。幸い担任の先生が面倒見がよく、先生と私たち担当者の間では「卒業後に○○をしたいという、進路へ向けての意識を彼女に持たせたい」という共通の目標ができました。(補足すると、現在の中学校では単に「どの高校へ進学するか」という指導ではなく、どのような生き方をするかという『キャリア教育』をおこなっています)
ひょっとしたら、他に言うことが無かったので「美容師になりたい」と口走っただけではないのか。あのときは、確かにそのつもりだったけれども、今ではそんな気はないのではないか…と、不安は多々ありました。そこで、学校は学校で、適応教室は適応教室で、それぞれ彼女と「将来」について話し合う機会を増やしていきました。「美容師になる」ことが第一に大切とは考えていません。今、彼女はそう考えていても、嫌な思いをしたり、集中力が続かず飽きてしまったりして、途中でやめるかもしれません。しかし、その時にも自分の意志で、新たな生き方を見つけていってくれれば良いと考えています。
そうこうしているうちに、相談中の彼女の話題から世間話やアイドルの話が消えていき、彼女自身の卒業後を考える話が増えてきました。