子どもたちの置かれている状況 4
適応教室で不登校の子どもや保護者と、定期的に相談をしていました。その中に(ここには似つかわしくない)元気な、どちらかというとヤンキーっぽい女の子がいました。今まで、「不登校の中学生」と言えば、口数が少なく下を向いていて、表情も乏しい…といった姿を想像していましたが、全くそうした予想(偏見)を覆してくれるタイプの子でした。来所時のファッションもスウェットやジャージの類で、いつもスリッパを引きずっていました。相談が始まっても、お笑いやジャニーズの話に終始し、「何をしに来ているのだろう?」といつも、考えさせられていたものです。しかし、ある時「チョー、ムカついた」と、地下鉄の中でどこかのおじさんに叱られた(彼女の言い分では、からまれた)ことを、彼女自身の言葉でリアルに話してくれました。そこで「話すの上手だね。よく分かった」と感想を伝えると、「本当?」と今まで見せたことのない、かわいい笑顔で笑ったのです。その時から、彼女自身について話してくれるようになりました。そこで、彼女は学年でも1,2番のヤンキーであったが、グループ内の力関係のトラブルで負けたため、学校へ行けなくなったことが分かりました。また、「両親が理解してくれない」とも話し始めました。彼女の話は大変興味深く、面白かったので「相談」という枠の中ではなく、二人で大笑いをすることもありました。
そんなある日、中学3年生の彼女は「進路の紙どうしよう」と言ってきました…