不登校について考えましょう ② 気持ちは言葉にしなければ、伝わらない

(この時期の宮崎県高千穂の様子です。とても心洗われました)
前回、このような事例を提示し、みなさんに考えてみてくださいとお願いしました。
いかがですか、ご一考いただけましたか?
事例1 小学4年生のAくんは、1学期の間は普通に登校できていましたが、2学期になったら休みが増えてきました。担任の先生は「まぁ、こんなこともあるか」と思い、お母さんからの相談にも「少し様子を見ましょう」と話していましたが、なかなか変化が見られません。そこで、とうとうお母さんから「車に無理やり乗せて連れてきたら、先生、何とかしてもらえますか?」と言われてしまいました。
では、みんなで一緒に以下の視点を手掛かりに、考えていきましょう。
視点① お母さんは、どうして「無理やり連れてくる」と言ったのでしょうか?
多くの方が想像されているかと思いますが、お母さんは大変疲れていると思います。
今まで学へ校行っていた子どもが、学校へ行かなくなったとしたら、さまざまな思いが頭をよぎりますよね。
「よその子は学校へ行っているのに、どうしてうちの子は行かないの?」「何が理由なの?いろいろ尋ねても何も言わない‥誰かにいじめられたの?」「いつになったら行くのだろう?」「こういう時には、むりやり出さない方がいいと評論家の人が言っていたけど、ずっと行かなくなったら、どうすればいいの?うちの子が『ひきこもり』っていうのになったら、どうしよう」「父親は、仕事が忙しいから任せるって、逃げてるし‥」「私の両親には話したけど、義父義母にはいえない。何て言われるか分からないし‥」「担任の先生は、様子を見ましょうって言うけど‥」など、さまざまな思いが現れては消え…を繰り返しているのではないでしょうか。
こうした気持ちは、不登校の子の保護者の方としては、とてもよくあることと考えます。
本当に不安ですよね。
今日一日休んだら、明日は元気に登校するという保証があれば、お母さんの心も落ち着くと思いますが、そうはいきません。
「親戚の○○ちゃんも、不登校の時があったけど、しばらく経ったら行けてたから、うちの子も大丈夫」と気休めのように思っても
すぐに「そんな保障はないし‥」と落ち込むことの繰り返しではないかと想像します。
そんなお母さんの「助けてください」の気持ちの表れが「車に乗せてむりやり連れてきたら、何とかしてもらえますか」という言葉
に表われたのではないでしょうか。
すなわち、この言葉は「先生、助けてください」という、お母さんのヘルプサインではないでしょうか。
そんな差し迫ったお母さんのために、なにをすべきでしょうか。何ができるでしょうか。
視点② 先生は、今までにお母さんやAくんとどのように関わるべきだったでしょうか?
今まで、先生がこの子について何もせず、放っておいたとは思いません。
いろいろ思案されていたかと思います。
ただ、その先生が思案されていたということは、お母さんに伝わっていたでしょうか。
「以心伝心」とか「言わなくても気持ちは伝わる」って、本当でしょうか。
「気持ち言葉にして、初めて伝わる」と考えます。
先生がいろいろ考えられたことは、言葉にして、口にだしてみて、初めて相手に伝わると考えます。
今まで、先生がお母さんに言ったことは「様子を見ましょう」でした。
様子を見るって、どのように見るのでしょうか。
先生の思いは、不登校の子どもやそのお母さんに伝わっていたでしょうか。
お母さんは、先生からの連絡もなく、孤立無援の寂しい気持ちを抱いていたのではないでしょうか。
だからこそ、「無理やり連れてきたら…」という言葉になったのだと思います。
また、休みがちになっている子ども自身に対しても、先生の思いは届いているでしょうか。
「早く学校に来てね」という先生の思いは、伝わっているでしょうか。
ここに、この事例を解決するポイントがあるかと思います。
そこで、例えば‥
朝の定期連絡だけではなく、きちんとした時間をとって電話や、できれば家庭訪問(学校へ来てもらう等)をして、子どもに直接会
えなくても、保護者を通じて子どもと会話をしてみる。玄関先で保護者と話していると、子どもは隠れていても聴き耳を立てていま
す。そこで、子どものお気に入りのペットのハムスターを見せてもらうといった、『心へのタッチ』を重ねていくことで、「先生
は、私のことをいつも気にかけている」といった思いを積み重ねていく‥というのも一つの方法かと思います。
いかがでしょうか。
ところで、保護者が児童生徒を「車に乗せて無理やり連れてくる」というケースを体験したことはあります。
正直、ケースバイケースかと考えます。
「車に乗せて無理やり」ということで、登校できるようになった子どもも確かにいました。
しかし、多くのケースでは、かえって子どもの保護者への不信感が高まり、状況がさらにややこしいものになったというケースも多
かったと記憶しています。
この連載のもう少し先でお話しするつもりですが、不登校の子どもすべてに役立つ解決法というものは、残念ながらなかなか見当た
らないのです。
今回の事例では、「無理やりつれてくる」ことの是非よりも、不登校の子どもを抱えた保護者の焦燥感や、気持ちを相手に伝えるこ
との大切さについて考えました。
次回も、保護者の気持ちを中心に考えてみます、
よろしくお付き合いください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ
ェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。

