不登校について考えましょう ⑦ 今回は、当事者であるAくんの視点で
今、『不登校』について考えています。
① 不登校って、どれくらいいるの?
Q1 不登校の定義
Q2 不登校の人数
② 不登校は誰にでも起こりうること
Q3 不登校の子どもの全体での割合
Q4 不登校は、いつからあった?
③ 本当に悩んでいる子は、自分が何で悩んでいるかが分からない
Q5 不登校の原因は?
④ ケース①コミュニケーションが苦手なために生じたトラブル【中2野外学習のマス掴み事件】
視点 事前の本人や周囲への指導・配慮は?
⑤ ケース①続く 全ての子どもに、1/35の愛情ではなく、1/1の愛情を!
視点 該当生徒だけではなく、みんなへの配慮 ➡ みんなを特別扱いしたら?
そして、今回は④⑤とは異なる視点で、このケースについてもう一度考えてみます。
⑥ ケース①続く 彼(不登校傾向の中2男子)をもっと知りたい
こんな事件でした。
ケース①【学校を休みがちだった中学2年男子生徒が参加した野外学習でのトラブル】(再再掲ですので、小さな文字になっています。読みにくいですよね。よろしければ、前回の記事をご覧ください)
※ 彼自身の情報について、赤色にしてみました。
Aくんは、小学校の頃から、授業中に立ち歩く等落ち着きのない行動がよくある生徒でした。しかしながら、大半の子どもが保育園時代からAくんの言動に慣れていたので、小学校ではそれほど大きなトラブルは起こっていませんでした。けれども中学校では、もう一つの小学校の子どもたちとともに生活するわけです。すると、「先生、Aくんは授業中に立っても、どうして叱られないのですか?」という、この年頃の子どもとしてはよくある質問が出てきます。それは、質問という形をとっていますが、おそらくはAくんに対してのクレーム、さらにはAくんを叱らない先生へのクレームというのが真意でしょう。そこで、Aくんは登校を渋るようになり、次第に欠席が増えてきました。
そして、2年生の夏休みに、Aくんたちの学年は野外学習へ出かけることとなりました。担任の先生は、「Aくんもぜひ連れていきたい」と考え、4月当初から「Aくんが少しでも親しい生徒と同じ班や係になれるように」と配慮した班編成や係分担を工夫してきました。クラスの子どもたちからの働きかけもあり、Aくんはクラスのみんなと一緒に野外学習へ参加しました。先生たちの心配をよそに、2日目の夜まで無事に過ごすことができました。そして、3日目の午前中は、川に入って『マス掴み』をします。実は、Aくんの家庭はよくキャンプに出掛けているので、Aくんはこうした活動が結構得意なのです。そこで、他の生徒たちとりわけマスを掴めない子どもたちに、Aくんがアドバイスをする姿が見られるようになってきました。生徒たちからも「Aくん、教えて」と声がかかり、Aくんもまんざらでもない表情で教えています。担任としては、予想もしていなかったことで、「良かったなぁ」と喜んでいました。ところが、もともとコミュニケーションが苦手なAくんは、相手の気持ちを考えた言葉がけをすることが不得手です。そこで、ついつい「こんなことできないの?」等と、上から目線で話しかけてしまうのです。それが何度か繰り返された結果、数人の生徒が怒って「学校休んでいるヤツに言われたくないよ」と言ってしまいました。すると、Aくんの顔色が変わり「帰る」と叫び始めて、収まりません。そこで、急遽保護者に引き取りにきてもらうこととなりました。その後、2年生の終わりまで、Aくんは登校してきませんでした。
赤字に注目して再度読まれて、どのように思われましたか?
以前、大学の授業で取り上げた際には「Aくんが活躍する場面があったのに、もったいなかったですよね」「予想外のいい流れだったのに、何と
か帰らずにできなかったのですか?」等と、Aくんの活躍を評価するとともに、途中でのリタイアを残念がる声が多く聞かれました。
同感です。
しかし、大切なのはAくんの気持ちです。
その後の彼との関わりの中では、始めこそ「行かなきゃよかった」と言っていましたが、2年生の終わりごろには「○○くんは、マスに触るのさ
え下手」と、自ら野外学習の話題に触れることもありました。
彼の中で、何らかの思いが生じたことは確かなようです。
そこで、再度このケースでの彼の情報をチェックしてみました。
すると、④で、『コミュニケーションが苦手なAくん』と説明しましたが、それだけではないようですね。
例えば、小学校の授業中の様子からは、集団の中での行動規範という『社会性』が育っていないことがうかがわれます。
また、そうした言動をすることで、周囲の級友がどう思うかという『想像力』の乏しさもあるのではないでしょうか。
そんな観点で、「ではAくんとどのように関わっていくとよかったのか。また、今後どのように関わっていくべきか」について考えていきましょ
う。
その一方、メディアは『不登校の原因=いじめ』とよく言いますが、不登校の子どもたちの支援機関で働いた私としては、「そんなに簡単じゃな
いよ」と思っています。
「不登校の理由は、100人いれば100とおり」です。
ただ、大きく【学校の状況に原因】【家庭環境に原因】【本人の気質に原因】の3つに分類されると考えています。
そんな視点も交えて、次回考えていきましょう。
よろしくお付き合いください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。