【子どもの心 若者の心 そして‥】13 密な関係って、言いたいこと言えなくない?

「人と人との関わりの深さにもレベルがある」ことについて、継続して考えています。

       人と人との関わりの深さにもレベルがあるって知っていますか?(詳細は以前のブログで)
                   沈黙が苦痛でないのもバロメーター
         第一段階 閉じこもりのレベル
         第二段階 社交儀礼のレベル
         第三段階 世間話のレベル
         第四段階 情報伝達のレベル
         第五段階 意見・判断のレベル
         第六段階 心理ゲームのレベル
         第七段階 打ち明け話のレベル
         第八段階 ありのままの自分のレベル

 

このランクを基に、以下の事例を題材として、考えています。

事例① 現在、火曜日の4限にさまざまな学部の主に3年生を対象として、教職の授業をしています。また、5限に外国学部の4年生を対象として、ほぼ同じ内容の教職の授業をしています。こちらとしては、どちらの授業もぼほ同じ内容で教えているつもりですが、両者の顕著な違いを感じるようになりました。この大学は公立大学であり、学生の学力レベルは高く、話し合いを中心とした授業に、とても意欲的に取り組み、活発な意見交換があります。

2つの講義の受講者の内訳は

4限 3年生中心 さまざまな学部の学生が集まっているので、この授業で初めて顔を合わせたという学生も多く、大半は1週間にこの授業だけで会うといった関係である。授業後に提出する『振り返りシート』の記述も、時には「うーん、何も考えていない?」といったものもある。

5限 4年生中心 大半が外国学部学部であり、1年生のころからの友人知人が多い。留学経験や就活・採用試験等で苦労しているからか(学務課の方曰く「言葉遣いや態度が礼儀正しくなってきた」)、きちんとした対応をしている。『振り返りシート』の記述も内容が深まっており、講師自身が触発されるものもかなり見られる。

2つの講義内での話し合いは、どちらも活発であり大きな違いは見られないが、発表場面では、意欲的に手まで挙がる4限に対して、発表について腰の重い5限という違いが見られます。

うーん、おかしいですよね。

親しくないメンバーの集まり(3年生)の方が、親しいメンバーの集まり(4年生)よりも、堂々と発言していることに違和感を感じませんか?

そこで、この事例を基に、「相手との関係性が深まると、何でも言える関係になる」といった思い込み(と考えます)ついて、考えることとし

ました。

その第一歩として、この2つのグループの関係性を、上記の「かかわり方ランキング」のどこに当てはまるかを考えました。

前回は、「親しくないメンバーの集まり(3年生)」について考えました。(詳細は前回のブログで)

今回は、「親しいメンバーの集まり(4年生)」について考えます。

さて、「親しいメンバーの集まり(4年生)」は、第六段階 心理ゲームのレベルでしょうか。

 

以前から、この第六段階 心理ゲームのレベルは、「ちょっと怖いなあ」と私自身は考えています。

それを説明するために、今まで愛情の度合いの異なるカップルの力関係を取り上げてきました。

Aくんを大好きなBさん(男女は逆でもかまいません)は、「Aくんに好かれたい」一心で、Bくんの強引な要求に何とか応えようとすることで

しょう。このとき、両者の力関係には圧倒的にバランスが悪くなっていますよね。それでも、まだAくんが善良な人だったらよいのですが、ブラ

ックな心の持ち主だったならば、「Bさんには、何を言ってもいい」と考え、対等な関係ではなく、上から目線での関係性を強要することもある

のではないでしょうか。それが、『相手を支配する』という第六段階 心理ゲームのレベルの難しさ・リスキーさの表れと考えます。

もっとも、「親しいメンバーの集まり(4年生)」のみなさんがそのようなタイプと言っているのではありません。

むしろ、お互いに「あっ、いいよ。その意見に賛成」「なるほど。そんな考え方もあるんだ」と、とても和やかな雰囲気で、気持ちの良い話し合

いが続きます。

見ていて、こちらもホワッとしてきます。

 

だから、問題ではないでしょうか?

彼等は、「相手を操作しよう」等とは誰も思っていないでしょう。

そして、相手の意見を受け入れようとします。

もちろん、「相手に賛成して」と思いますが、それだけでしょうか?

彼等は、今の若者特有の『ピカピカに磨かれたリスキーキャッチアンテナ』と、『キリキリと研ぎ澄まされた傷つきやすい心』を持っています。

ですから、相手を傷つけることに臆病ですが、それ以上に自分が傷つけられることを怖がります。

そこで、例えば『このいじめの事例に対して、どう思う?』との私の発問に対して、「○○と考える」という自分の意見を発表はするものの、チ

ーム内で異なる意見が出でくると、「そうだよね」と受け入れるわけですが、そこには『ここで無理して自分の意見を主張すると、みんなからど

う思われるだろうか』という、いわゆる『忖度』『自己保身』がはたらくのではないかと考えます。

とりわけ、この4年間の多くの時間をともにしてきたとすれば、「明日も朝から一緒だから‥」等と、思っても不思議はないのかもしれません。

もちろん「親しくないメンバーの集まり(3年生)」でも、そうした気持ちははたらくと思いますが、前回もお話したように、何分1週間に1回

の出会いです。そんなに親しい関係を築いているわけではありません。お互いに多少のきまずさがあっても、次に会うのは1週間後です。お互い

に、その事実を覚えているかも分かりません。

ここに、両者の違いの根本があるのではと、私は考えます。

みなさん、いかが思われます?

次回はこのことから、先日SNSで話題となっていた『褒められたくない若者たち』について、考えましょう。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。