子どもたちの置かれている状況14

周囲も彼女も、あんなに合格を喜んでいたのに…

わざわざ合格を知らせに来てくれて、職員みんなからの祝福を受けて満面の笑みで、明るく「卒業」していった彼女がなぜ?

退学してしばらくたってから、彼女が電話で「退学した」と連絡をくれました。相変わらずぶっきらぼうな物言いをする彼女の説明では、事態がつかめず、ましてやその理由などはとても推察できませんでした。「落ち着いたら、状況を知らせてね」と言うのがやっとでした。

今、もちろん推測ですが(妄想と言うべきかもしれません)、こんなことを考えています。

学力不足から、授業についていけなかった。これは、程度の違いこそあれ、あったと思います。中学校の前半は登校していたものの、熱心に学習していたわけではありません。小学校までの学力と持ち前の回転の速い頭、そしてつけ刃の特訓で得た学力では早晩苦しくなることは予想できます。ましてや、学習するという習慣も身についていませんから…

これは、一番もっともらしい理由、多くの人を納得させる理由です。

この理由を否定はしません。

しかし、私は違うと思います。

彼女が選んだのは、単位制の昼間の定時制です。単位制ですから、一般的な全日制の学校(HR活動などがある)と比べると、級友とのかかわり合いが少なくなる傾向があります。

本来、不登校で適応教室へ通所している子どもの多くは、他とのかかわり合いが苦手な場合が多いです。そんな子どもにとっては、とても「楽」な学校と言えるでしょう。

しかし、彼女はどうでしょうか?