【子どもの心 若者の心 そして‥】2 個の尊重と集団の協調性‥難しい‥
今回は、中学生の心理について考えます。
『発達障害傾向のあるAくんが、学校の昼の休憩時間のときに、大好きな虫(彼は虫オタク)を発見して動かなくなってしまいました。5限開始のチャイムがなったので、担任の先生はしばらく付き添い、その後Aくんと一緒に教室へ戻りました。すると、生徒たちの誰も何も言いませんが、何となくイヤーな雰囲気が教室内に漂っていました。担任の先生は、「しまった」と思いましたが‥』
という事例(個人情報となりますので、少し脚色してあります)に基づいて、大学生のみなさんと話し合いました。
まず、今これを読んでくださっているあなたへの質問です。
①この事例の問題点は、何だと思いますか?
②あなたが担任の先生ならば、どのように行動しましたか?
③また、これからどのように行動しますか?
順番に考えていきましょう。
①Aくんが虫に関が心あることは仕方ないこととして、チャイムがなった後も、二人で運動場にいたということが問題と考えます。
②担任の先生は、Aくんを一人で運動場に残すことを心配して、一緒に残ったと考えます。Aくんを一人にしなかったことは適切な判断と思いま
すが、では教室にいる他の生徒たちはどうなるのでしょうか。他の生徒たちは「先生は、Aくんだけを大切にしている」と考えるのではないでし
ょうか。これが、3年生にもなると状況は変わってくるかと思いますが、まだ1年生なので、そのように考える生徒がいても、何ら不思議ではあ
りません。もちろん、先生の体は一つですから、同時に二つの場所にいることはできません。そこで、それこそ「チーム学校」です。そうした場
面では、『Aくんを、学年の先生や教頭先生などに任せて、教室へ行く』または『Aくんの対応に専念する代わりに、他の先生に教室で自習など
をしてもらう』といった選択をするべきと考えます。
もちろん一人一人の生徒は大切ですが、学級全体も大切と考えるべきだからです。
③私ならば(これが正解かは分かりません。その場の状況によるでしょう)、「みんな、ごめんね。ほら、みんなも知っているように、Aくんっ
て虫好きじゃない。昼に運動場で、大好きな虫を発見したみたいなのね。そこで、そのことを教えてもらっていたんだよね。みんなからすると、
Aくんだけ授業受けなくてずるいと思うかもしれないけど、Aくんにはそんな気持ちはなかったと思うよ。ただ、そうしたことをもっと早くみん
なに説明すべきだったと、私が反省しています。申し訳なかった。ごめんね。」と、まず謝ります。
その上で、今後こうした場合にはどうするかを、他の先生たちと相談するとともに、他の生徒たちとも話し合っていくと考えます。
いかがでしょうか。
どのように思われますか?
このことが、【個の尊重と集団の協調性】の兼ね合いを具現化した、一つの事例と思います。
きっと昔は、否応なく『集団の決定に従う』だったと思いますが、今はそうした時代ではありません。
しかし、だからと言って集団で生活するためには、その集団を維持していくための協調性も必要となります。
なかなか、簡単なことがらではないのです。
次回も、このことについて考えていきます。
また、よろしくお付き合いください。