若者のトリセツ【やさしさが止まらない】⑩
『ユーメッセージ』よりも『アイメッセージ』で話すことによる効果について、さまざまな機会でお話してきました。
しかし、このごろの大学の授業での様子を見ると、そもそも学生たちは『ユーメッセージ』で話しません。
ほとんど全員が初めから『アイメッセージ』で話しているのです。
それも、かなり卑屈な言い方をしています。
どうして大学生は、事例(以前のブログ参照)の場面でも、相手に謝罪を要求せず、妙に物わかりの良い人を演じているのでしょうか。
このことを考えるために、さらに別の 事例 女子大学生からの相談(以前のブログ参照) も紹介しました。
これらを基に、学生たちと意見交換をした結果、以前にお話した思春期の子どもたちの集団であるチャムでの付き合い方も、大学生にな
ってからの付き合い方も『相手にとって耳触りの悪いこと』は言おうとしないという共通点を見つけました。
こうした共通点は、なぜでしょうか?
『相手を傷つけるのでは』という心配もあるでしょうが、それよりも『相手に嫌われて、私自身が傷つく』不安が大きいのではないかと
思えてなりません。。相手を思う優しさではなく、自分が傷つかないための保険である『優しさ』で、相手と接していると考えます。
どうして、ここまで周囲に対して防衛しないと、付き合うことができないのでしょうか。
みなさんは、どのように思われますか?
① 自立した個人どうしの対等な関係が築きにくい
② 自分に自信がないので、周囲の影響を受けやすい
のではないかと、考えています。
まず、①自立した個人同士の対等な関係が築きにくい について考えてみましょう。
以前からお話しているように、現在大学の教職課程を受講している学生に、『特別活動』を教えています。
学校教育の一環ですから、文科省が示唆する『指導要領』に基づいて指導していますが、時代の変遷や社会のニーズの変化により、この
『指導要領』は変更されます。
今回の変更の大きな柱の一つとして、【人間関係形成】があります。
私が新米の中学校教員となった昔は、教員とりわけ担任は『教員とAくん』『教員とBさん』『教員とCくん』‥といった、教員と個々
の生徒の関係を築いていくことが大切でした。
もちろん、今もこのことは大切です。
しかし、現在ではこの関係だけではなく、『AくんとBさん』『BさんとCくん』‥というように、子どもどうしのか関係も築かなけれ
ばならなくなっているのです。
(この話をしたところ、1人の学生の講義後の振り返りシートに「子ども同士の人間関係に教員が係わることが必要なのか」という記述
がありました。まさしく、そのとおりと考えます。子どもは自分たちで関係を築くべきと考えます。しかし、実際に学校現場で様子を見
ると、残念ながら今の子どもたちに、そこまでの『人間関係形成』の力は、育っていないのです)
ですから、成長した後でも「どうすれば友だちができるのですか?」といった質問が、「○○相談」といったところに寄せられるのだと
思います。
そこで、学級の中で『ちょっと目立つ子』『運動などが得意で華やかな子』『大きな声で発言する子』といった子どもたちを中心とし
て、その周囲に多くの子が集まってくるわけです。
そうやって形成された関係は、そのメンバー間は、もちろん対等ではありません。
この不平等が、以前から話している『チャム』や、ひいては『カースト』を生じているのではないでしょうか。
しかし、『自立した個人同士の対等な関係が築きにくい』というのば、子どもたちだけのことでしょうか。
ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケー
ションカフェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。