未来の教員を目指す学生と関わって4部⑥

この連載の第1シリーズとして、発達障害を中心とした【学級・学校に適応することが難しい子どもとの係り】について、また第2シリ

ーズとして【学力差がある集団への係り】について、第3シリーズでは、【一見仲良さそうに見えるなれあい集団内部への係り】につい

て、教員を目指す彼らが抱えている不安について考えてきました。

 

現在の第4シリーズでは、『教職を目指す学生が考える【理想の教師像】』をスタートとして、教育相談の持ち方などについて考えてい

きます。

さて、『教職を目指す学生が考える【理想の教師像】』アンケートについては、以前にご説明しました。

そして、このアンケートからは、なかなか興味深い結果が見えてきました。

1 第1位となったのは、【悩みを抱えている子どもへ寄り添う気持ちが強い】(詳しくは、シリーズの以前のブログご覧ください)

2 『彼ら自身の優しさ』が、不安やストレスの要因となることの一つの表れ

大学の授業で、『自己肯定感』を高めるスキルの一つとして、『アイメッセージ』のロールプレイをした際に驚きました。

それは、『友人が約束時間に現れず、長時間待たされていた。そこへ、友人があたふたと現れた。あなたは、どのような対応をするか』

という課題でしたが、初めから『待たせた相手に対しての非難』等ということが、全くなかったのです。

むしろ「相手にも事情があるから、仕方ないよね」「相手が遅れてくるくらい、別に問題ではない」「私が少し我慢するだけで済むなら

大したことじゃない」といった反応ばかりでした。

むしろ「人を待たせるのは良くない」と、当初ワークシートに書いていた学生は、授業後に「私は、相手の気持ちを考えずにひどいこと

を言ってしまった」と反省を書いていました。

実は、数か月前にも似た体験をしました。

 

私の授業を受けている女子の学生の、授業後の振り返りシートにこんな悩み相談が書いてありました。(このところ、振り返りシートに

は授業内容のまとめよりも、人生相談が多くなっているので、結構大変です‥)

『私の友人に、待ち合わせにいつも遅れてくる人がいます。今までは、いいよと言っていたけど、それは彼女のために良くないのでは?

と思い、遅れずに来てねと言ったら、そんなの仕方ないじゃんと言われて、周りにいた子たちもそんな言い方するって、ひどいよねと言

ってきて‥私が、まるで空気読まない人って感じで。ちょっと落ち込みました。私が間違っていますか?』

 

みなさん、どう思われますか?

彼女は、何か間違っていたのでしょうか。

 

いいえ、彼女は至極まっとうなことを言っただけだと思います。

では、なぜ彼女は非難されたのでしょうか。

それは、周囲の価値判断の基準が、【やさしさ?】にシフトしているからと考えます。

そして、『誰も傷つけたくない』風潮が蔓延している中で、正しいことを主張したからです。

 

今、学生さんたちの『授業案』を採点していますが、ここでもよく似た空気を感じています。

『学校行事である合唱コンクールの活動を通して、中学生一人一人が成長するために、担任としてどのような取り組みをするか』につい

て、授業案を考えるという活動です。

学生たちはとても熱心に取り組んでいます。

しかし、このごろ『生徒にどのように考えさせるか』『そのために、どのような活動にするか』といった、言わば【活動の幹】となるこ

よりも、『周りの子どもを傷つけるような発言をしないように配慮する』といった、言わば【注意事項】に当たる部分についての記述

多いことが気になります。

もちろん、【いじめ】や【不登校】、さらには【自死】という子どもたちを取り巻く状況を考えての、そうした配慮は大切なことです。

しかし、『配慮』優先で『活動』が後になるということが続けば、何もできなくなるのではないでしょうか?

それは、『生徒たちの成長を図る活動はとても魅力的だが、子どもたちの人間関係で何かトラブルが起こるかもしれない。嫌な思いをす

る子がいるかもしれない。そうならば、例年通りにしておこう』という雰囲気を生じさせるのではないでしょうか。

その雰囲気は、子どもたちの成長を停滞、むしろ退化させることに繋がらないでしょうか。

学校現場を知る者として、むしろそれを怖れています。

みなさんは、どのように考えられますか?

 

 

 

 

ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケー

ションカフェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをごらんください。