未来の教員を目指す学生と関わって3部⑫

この連載の第1シリーズとして、発達障害を中心とした【学級・学校に適応することが難しい子どもとの係り】について、また第2シリ

ーズとして【学力差がある集団への係り】について、教員を目指す彼らが抱えている不安について考えてきました。

今シリーズでは、【一見仲良さそうに見えるなれあい集団内部への係り】について、考えていきます。

 

子どもたちは、活発に楽しそうににぎやかに活動しています。

しかし、このグループ内では、外から伺えられない『人間関係のトラブル』が生じていることがよくあります。

 

そうしたトラブルを防ぐために、『自分たちのことを自分たちで考え、話し合い、決める』という一連のルーティンを習慣化することが

大切と考えます。普段の『理科の実験の班』等での少人数編成に手間をかけずに、大きな行事の時だけ子どもたちに考えさせても、今ま

でそうした【力】が育っていなければ、不毛の話し合いになると考えます。

 

では、次にそうした【力】を育てるための具体的な手立てについて考えましょう。

①学級の出来事を自分事として、とらえさせる

〇『あなたはどうするの?』は、魔法の言葉 (前回紹介)

子どもたちの提案が、言いっぱなしで終わることはありませんか?

もしそうならば、どんな素晴らしい提案『他人事』になってしまいます。

そこで、『○○のために、あなたはどうするの?』と、一人一人に考えさせ(当事者意識を持たせる)ましょう。

この「あなたはどうするの」は、『他人事』を『自分事』へ変える、魔法の言葉と考えます。

〇スモールステップで乗り切ろう

これは、子どもたちに限られたことではありません。

子どもたちが「学級の○○のために頑張ろう」という場合であろうとも、大人のあなたが「ダイエットのために頑張ろう」という場合で

も、同じことが言えます。

それは、遥かかなたのゴールを見て、「やっぱりだめだわ…」とため息をつくのではなく、そこまでの道筋に小さなゴールをたくさんつ

くることを、おすすめします。

例えに出しては申し訳ないのですが、ヒマラヤやアルプスなどの高い山への登山のさいに、ベースキャンプから順に一つずつのキャンプ

を繰り返して登頂を目指すという映像を何度も見たことがあります。

理屈は同じです。

麓でため息をつくのではなく、「まずはあの一つ目まで」と頑張ってみませんか。

そして、もちろん小さいとは言え、小さなステップに到達できたならば、やはりその努力に見合う評価を与えましょう。

学級の掲示物係チームの一員として、教室背面の壁に学級の子ども全員の誕生日を掲示すると計画したとします。

その第一歩として、例えば「どんな掲示物にするかを話し合う」➡「活動の役割分担をする」➡「みんなの誕生日を調べる」➡「みんな

に小さい頃の写真を持ってきてと頼む」➡「持ってこれない級友がいる。トラブル発生。どうするか話し合う」➡「実際に作成する」➡

「みんなに見せる」といったステップがあると思います。

担任としては、最後の完成した作品の評価ばかりではなく、一つずつの段階で、学級全体の前で認め褒めることが大切と思います。

そうすることによって、係の子どもたちのやる気は高まります。

もう、誰も『他人事』などとは考えていません。

 

 

 

 

 

ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケー

ションカフェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをごらんください。