子どもたちの置かれている状況12

彼女の言動にはよく驚かされましたが、今回の突然の涙にも驚きました。

そこで「どうしたの?」と尋ねると、「どうして、そんなに私の話を聴いてくれるの?」と、彼女が答えます。そこで「あなたはここに、話をするために来ているのだから、私たちが話を聴くのは当然でしょ」と説明しました。すると「そんなことは分かっている。でも、今まで私が話しても『そんなのは、お前のわがままだ』とか『勝手なことを言うな』と言われた。だから、話しても無駄だと思った。でも、ここはそんなこと言わずに、私の話を聴いてくれる」と言いながら、泣き続けています。

私は、そんな彼女の姿を見て「なんてかわいいんだろう」と思うと同時に、今まで認められることの少なかった彼女をかわいそうにも思いました。そしてまた、まるでステレオタイプ化した「自己肯定感がどうしたら低くなるのか」という事例に出会ったとも確信しました。

もちろん、今まで彼女と出会った人々が悪い人だとか、無理解な人ばかりだったと言っているわけではありません。むしろ、彼女自身が周囲の人々の善意に対して誠実に応えてこなかったという場面も、多々あったのではないかと考えます。

しかし、やはり周囲の大人は、子どもを信じてあげるべきではないでしょうか。

いつも正しいことを言ったり行ったりすることができないから、「未熟=子ども」と言うのではないでしょうか。