【子どもの心 若者の心 そして‥】5 「学校休んでるやつには言われたくないよ」

目下、集団への適応が苦手な子ども及びその周囲の子どもたちへの対応について考えています。

例えば、①「虫へのこだわり」が強い生徒が、学級の子どもと異なる対応をしたときに、級友たちはどのように受け止めるか 

②不登校傾向の強い生徒が、「学級のお楽しみ会に参加したい」と希望したときに、級友たちはどのように受け止めるか とい

った事例について考えてきました。

こうした事例は、集団(この事例では学級)の中での【個の尊重と集団の協調性】の兼ね合いの難しさを、私たちに考えさせます。

前回まで、個の尊重について、子どもたちを本当に大切にするとは、彼等に社会で生きていく力を身に付けさせることとお話しました。

(例えば、ソーシャルスキルトレーニング 詳しくは前回のブログをご覧きださい。)

前回は、夢中になると他のことが見えなくなってしまうAくんについてお話しましたが、一人を大切にする考え方は、その一人を特別扱い(子ど

もたちの言い分では、ひいき)するのではなく、そうした扱いを全ての子どもたちに対応していく考えにつながると思います。

これこそが、全ての子どもたちを大切にする【ユニバーサルデザイン】の考え方ではないでしょうか?

 

今回は、もう一つの考え方集団の協調性について、考えていきましょう。

④多くの中学校では、2年生が野外学習へとキャンプなどに出かけます。私が勤務している学校でも、夏休みに出かけました。ハイキング・キャンプファイアー・飯盒炊飯等さまざまなイベントを行います。生徒たちは、「疲れた」「面倒」と口では言いながらも、楽しそうに取り組んでいました。最終日には、川に入り放流されたマスを捕まえて、その後美味しくいただくという「マスづかみ」が行われました。マスを捕まえるという行為は、それまでの生徒の生活体験が大きく関係し、小さな頃から自然に馴染んているか否かに影響されると考えます。1年生の半ばから不登校傾向のAくんが、保護者や担任、級友の勧めがあり、この野外学習に参加していました。2日間何とか過ぎ、彼が級友と話す姿も見かけられるようになりました。担任の先生は「来てくれて良かった」と喜んでいたのですが‥彼は、ずっと小さな頃から家族でキャンプへよく出かけていました。そして、釣りや魚を捕まえることにも、他の生徒たちよりも慣れています。その上手な姿を見て、他の生徒たちが「どうやればいいの?」と尋ねるようになりました。彼も親切に教えていたのですが、もともとコミュニケーションが苦手な彼ですから、「どうしてできないの?」等と上から目線のアドバイスが増えてきました。すると、2,3人の生徒が「お前には言われたくない」「ふだん学校に来ていないくせして‥」と口に出しました。すると、即座に彼の顔色が変わり、「家へ帰る」と叫び始めてしまいました。すぐに担任、養護教諭、スクールカウンセラーが集まり、彼を落ち着かせようとしましたが、彼の気持ちは変わらず‥保護者が迎えに来て、一緒に帰宅することとなりました。その様子を近くで見ていた同じクラスの女子生徒たちが、「あーあ、あんたちが余分なこと言うから」と、男子たちを非難しまし。そこで、男子たちは「えっ?俺たち悪者?」と私のところに相談に来ることとなりました。

さぁ、あなたはどう思われますか?

こういった類の問題は、学校生活の中でよく起こることと思います。

おそらく、大人ならば上手に(その真意は別として)スルーしていくことかなぁと思います。

しかし、それが果たして良いことなのか?

誰にとって良いことなのか?

そんなことについて、次回考えていきます。

また、ご参加ください。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。