【友だちという呪縛~ボッチ上等~】15 小集団の中の鉄の掟

現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。

中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、

決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。

そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。

 

「私を助けて」とえることができない子どもたちの背景・環境について考える。

子どもたちの状況1 思春期の発達段階について  (詳細は以前のブログ参照)

① 身体の急激な変化

② 心の急激な変化

③ 他者との関係性の変化

 

子どもたちの状況2 対人関係形成力の低下

前回、初任者として赴任した中学校が「校内暴力」「対教師暴力」で、大変だったというお話をしました。

今は、こうした学校は少ないのではないかと思います。

教師として私は、とてもとても大変でした。

しかし、それと同時に『その時の生徒たにちとっては、大変ばかりではなかった』というところに目を向けたいと考えます。

その例として、「授業中の漫画事件」(前回のブログ参照)についてお話しましたが、どのように思われましたか?

謝罪に来た二人は、いわゆるヤンキーです。

教師自身が、その対応についてとても苦慮していました。

そんな二人に、クラスの他の子たちが「謝ってきて」と要求し、またその要求に二人が従ったということに驚きました。

彼らと、クラスの他の生徒たちとは、明らかに力関係が違います。(違うように見えます)

それにも関わらず、彼等に「謝罪」を主張できたのは、幼稚園保育園時代からのつながりがあったからでした。

教師が学校が知らない、密なプライベートの関係がヤンキー2人と他の生徒たちの間には合ったということです。

「これは強いなぁ」と思いました。

ある意味、良い時代、牧歌的な時代だったと言えるかもしれません。

 

では、今の学校でこうした関係はどうなっているでしょうか。

多くの学校現場を見ていますが、こうした関係は少なくなっているように思います。

それは私が感じているだけではなく、文科省もそのように捉えているようです。

そこで、現在の学習指導要領の改訂において、『対人関係』に焦点が当たっています。

そこでは、現代の子どもの対人関係の特徴として

① 狭い閉じた小集団の一員となる

② 小集団の中で、同調的な関係が優先される

と、考えられています。

ここで、強調されている『小集団』という言葉が、今の子どもたちを理解するための一つのキーワードではないかと考えます。

つまり、学級の中でいくつかの小さなグループに分かれていて、そのグループ内はとても強固な結びつきがあり、そのグループ内でトラブルがあって

も、その内容は外部にもれにくい。(とりわけ、女子の場合には鉄の掟のようになっていて、部外者には全く不明という状況があります)

そこで、そうしたグループとグループの間で、いじめ等のもめ事があれば、担任などにもその情報が伝わってきますが、一つのグループ内でのいじめ

などが起こった際には、外部には何も伝わってこないため、大きなトラブルになってしまう‥といったことも間々あります。

一方、学級内がいくつかの小グループに分かれているので、そのグループ内でけんか等が起こり、そのグループを出ると、一人ぼっち(彼らが怯える

ボッチ)となってしまうのです。

ここから、以前にもお話した【チャム】という関係性や、よく話題となる【学級内カースト】といった問題が生まれてくると考えます。

この傾向を助長することとして、私たち日本人の国民性とも言える【同調性】考えられます。

これについて、次回考えていきましょう。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。