【友だちという呪縛~ボッチ上等~】11 「あなたはいらない」と言われる辛さ

現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。

中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、

決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。

そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。

 

前前回(9回)まで、子どもたちの中にある『友だちはいなければならない』というこだわりの強さについて、考えてきました。

そして、前回(10回)から、第2部『子どもたちを取り巻いている環境』(それは私たちの想定を超えて変化している?)について、考えていま

す。

その初めに、『未成年(18才以下、20才以下のどちらで考えても結構です)の死亡原因の1位は何だと思いますか?』という質問を

しました。

考えていただけましたか?

そうです。

大半の方が想像されたように、第1位は【自死】です。

私は、このことを知ったときに、とてもショックを受けました。

もちろん、それまでも『日本人の自殺者数は3万人程度』『自殺者数は少しずつ減ってきているが、コロナ禍で再び増加』『大人と同じように、日

本の子どもの自殺者数も多い』といった事柄は、知っていました。

しかし『死亡原因の1位が自死』とは‥

本来は、とても楽しくワイワイと生活している(そうであって欲しいと私たち大人が願っている)姿と持ったく異なり、子どもたちは生きづらさを

感じているのです。

こうした情報を見聞きすると、世の多くの大人たちは「どうして辛いと言わないんだ。言ってくれればいいのに‥」と口にされます。

では、どうして彼らは「私は辛い。助けて」と言わないのでしょうか。

 

子どもたちが「言わない」いいえ「言えない」(と私は推測します)のは、なぜでしょうか?

ちょっと想像してみてください。

仮に、『いじめられている』子がいるとします。

『いじめられる』ということは、言わば『あなたのことが私たちは嫌い』『あなたとは一緒にいたくない』等と、その存在を否定されるということ

です。

また、『虐待されている』子がいるとします。

『虐待される』ということは、言わば『あなたの面倒なんかみたくない』『一緒にいたくない』等、上記と同じように、その存在を否定されるとい

うことです。

そんな、自分の存在を否定されているということを、周囲の大人などに打ち明けて、「私を助けて」と訴えることが果たしてできるでしょうか。

ここで、【自分の価値が周囲から低減されていることを言うのは、死ぬよりも辛い】とのアドラーの言葉(嫌われる勇気より)を、思い

出してみましょう。

そうなんですよね。

子どもたちばかりでなく私たち大人も、自分の存在をないがしろにされているということは、なかなか言えないのではないでしょうか。

それは、プライドとも自負とも言えるでしょうし、現在よく話題となっている【自己肯定感】にも関係しているのではないでしょうか。

 

次回は、そのことについて考えてみましょう。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい

ます。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。