【ソーシャルスキルトレーニング】コミュニケーションが苦手な人との上手な関わり方【不登校に目を向けて】23
今月は、【不登校】について、みなさんと一緒に考えています。
プロローグ
【不登校】についての知識の一例(以下、今回までの内容については、過去のブログをご覧ください)
本論
1 不登校の考え方の変遷
2 文科省による不登校の定義
3 不登校児童生徒数の推移
4 【不登校】の理由
① 学校生活に起因
② 家庭生活に起因
③ 本人の気質に起因
5 学校生活に起因の具体的なケースについて
①被害者のケア
②加害者の指導
③観衆の指導
④傍観者の指導
6 家庭生活に起因の具体的なケースについて
事例① 嫁姑のちょっとした考えの相違から不登校?
事例② 『韓流』は【不登校】に効く?
7 本人の気質に起因の具体的なケースについて
事例① ASD(自閉症スペクトラム)傾向のAくんのケース
8 発達段階で配慮すべきポイント
【小学校】の段階で必要なこと
【中学校】の段階で必要なこと
【思春期の特徴のおさらい】
9 不登校が児童生徒に及ぼす影響
① 学習の遅れ
② 社会的自立の基礎を身に付けにくい
上記の詳細(状況や理由)については、前回までにお話してきました。
そこで、今回は前回予告しましたように、その対応策について考えていきます。
対応策として、以下の2点を考えます。
その1 学級全員(不登校傾向の子も含めて)に、ソーシャルスキルトレーニングを。
現在、私は小学校の非常勤スクールカウンセラーとして、ある小学校に週に1回勤務しています。
私が取り組んでいるプログラムの一つとして、ある3年生の男子児童とソーシャルスキルトレーニングをしています。
彼は、不登校ではなく、楽しそうに学校へ毎日登校しています。
ただ、少しこだわり傾向があり、クラスの仲間たちと、ときどきささいなことでもめます。
そこで、ソーシャルスキルトレーニング(とあえて言うほど大したことではないですが)を、隔週で行っています。
例えば、彼が「大好きな解決ゾロリの新しい本が出たけど、本屋さんに人がいっぱいで、本が買えなかった」と、私に不満げに話してくれました。
そこで、リアルなソーシャルスキルトレーニングの出番です。
私「本はどこにあったの」
彼「テーブルの前にあった」(平積みしてあったという意味だと想像します)
私「そのテーブルの前に、たくさんの人がいたの?」
彼「いっぱいいて、近くへ行けなかった」
私「じゃあ、本には近づけなかったんだね」
彼「ううん、近くへ行ったよ」
私「どうやって」
彼「ぐにゅぐにゅとして、大人の人のすきまに入っていったよ」
私「それで、何か言われた?」
彼「うーんとかって、言われてにらまれた」
私「その時、どう思ったの?」
彼「やばいなと思ったけど、しかたないじゃんって思った」
私「そうかあ。自分でもヤバイと思ったの?」
彼「うん、でも仕方ないし」
私「そうかなぁ。仕方ないかなあ」
彼「だって、本がみんなにブロックされていたもん」
私「その時に、何かお願いして見たら、どうだろうね」
彼「お願いって?」
私「見たい本があるから、近くへ行かせてくださいって、頼んでみたらどうなんだろう」
彼「そんなの面倒だし、言っても変わらないよ」
私「そうかなぁ。この前隣の席の○○くんに消しゴム貸してあげたって言ってたよね」
彼「うん。○○くんが貸してって言ったから」
私「もしね。そのとき○○くんが勝手に消しゴム持っていったら、どう思うの?」
彼「ムカついてキレる」
私「うん、そうだよね。でも、大人の人の間を黙ってぐにゅぐにゅ入っていくって、消しゴムを勝手にもっていっちゃうことと似てない?」
彼「似てない」
私「本当?」
彼「ちょっと似てるかも」
私「似てると思うなあ。だから、本の近くへ行くときに、お願いしてみた方がいいんじゃない?」
彼「うーん。分かった。言ってみる」
といった会話を通して、『自分が行きたいところに人がたくさんいて通り辛かったら、無理やり入っていくのではなく「通してください」とお願いし
てみる』といった、社会生活をおくる上での、トラブルを防ぐスキルを身に付けさせることをねらいとしています。
今回は、個人を対象としていますが、今までに学級全体に対しても、ソーシャルスキルトレーニングをゲームとして取り組んできました。
ほんのささいな言葉の違いによって、相手も自分もお互いに過ごしやすいというトレーニングを、ぜひ取り組んてみましょう。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いていま
す。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。