不登校について考えましょう ⑥ 全てのこどもに、1/35の愛情ではなく1/1の愛情を!
今、『不登校』について考えています。
(週に1度の内容の更新を計画していますが、今回「母が亡くなる」と言う身内の不幸があり、間隔があきました。ご迷惑をおかけしました)
初めに、基本的なことがら(不登校の定義や不登校の実態等)についてお話してきました。(以前のブログをご覧ください)
そして、今は具体的な事例に基づいて、考えています。
ケース①【学校を休みがちだった中学2年男子生徒が参加した野外学習でのトラブル】(内容は、以前の記事をご覧ください)
これを読んで、どんなことを考えられましたか?
「Aくん、残念だったね」「参加できただけでも、よかったんじゃない?」「Aくんの気持ちも他の子の気持ちもあって…難しいねぇ」「誰かが
悪いってことじゃないよね」と、いろいろ考えられたのではないでしょうか?
そう、誰も悪くないと思います。
「仕方なかったね」と思います。
でも、もったいなかったなとも思います。
そこで、「どうすれば、より良い結果になったか」という視点で、振り返ってみましょう。
私は、今回のケースは、野外学習へ行く前に、こうなる要因があったと考えます。
Aくんは、『授業中の経ち歩き』や『コミュニケーションが苦手』といった記述から、【発達障害傾向】がある子どもではないかと想像できま
す。先生は、Aくんに対してとても配慮されていて、Aくんのことをとても大切にされている良い先生と思います。おそらく、2日目まで無事に過
ごせたことから、「ホッ」とされていたと思います。
でも、残念なことにトラブルが発生してしまった。
このことを、いくつかの視点で捉えなおしてみようと思います。
前回は①その「配慮」にAくんの希望は考慮されていた?(別の言い方をすれば、『Aくんはメンバーだった?お客さんだっ
た?』という視点)で考えてみました。
そして、今回は②クラスや学年の生徒の気持ちにも、配慮がされていた? です。
不登校傾向の生徒が登校した際に、先生はどうしても配慮して、中には「腫れ物に触る」ような扱いをする先生も見かけます。
「せっかく登校してきたのだから」という気持ちは十分分かりますが、そうすることで他の生徒たちが「休んでいる子は特別扱い」という不満を
抱くこともありますよね。
なぜ、彼等は不満をいだくのでしょうか。
それは、日頃彼等は先生から、「自分たちは大切にされていない」という気持ちをもっているからだと思います。
ですから、Aくんに対する配慮と同じように、他の生徒に対しても配慮する必要がある、そしてこのニーズはこの頃増加してきていると感じてい
ます。
この類の話は、よく耳にします。
そして、そうした時の解決策・対応は、得てして『不登校の子を特別扱いするのは、できる限り避けよう』と、なっていませんか?
多くの方の考え・意見が、『特別扱いは良くないよね』に落ち着くかと思いますが…
でも、それって簡単に言えば『不登校の子に与えている特別扱い・恩恵・プラスアルファをなくそう』という発想ですよね。
すなわち『不登校の子の上に積み上げられている特別扱いをはぎとって、他の子と同じ低さでそろえる』ということではないでしょうか?
みなさんは、あなたはそう思われますか?
私は、そうは思いません。
『不登校の子に与えられている特別扱い・恩恵・プラスアルファ』を奪い取るのではなく、他の子どもたちにも『不登校の子に与えられて
いる特別扱い・恩恵・プラスアルファ』を与えれば良いのではないでしょうか。
つまりは、『奪い取って低い位置』で平準化させるのではなく、『与えて高い位置』で平準化させるということです。
この発想は、6人ものお子さんを育てているお母さんからいただいたアイデアを基にしています。
6人ものお子さんがいると、大変ですよね。
甘えたい盛りの子どもたちは、「私を見て」「私だけを見ていて」状態となることは、当たり前とも言えるでしょう。
普通にしていたら、子どもたちは「お母さんの愛情は、いつも1/6」という気持に、どうしてもなりますよね。
そこで、そのお母さんは「今日のスーパーのお買い物は、AちゃんBちゃんだけ連れていく。CちゃんDちゃんEちゃんFちゃんはお留守番。そ
して買い物の帰りに、お母さんとAちゃんBちゃんでこっそりと、マックやパフェを食べてくる。次回は他のメンバーでというローテーションを
やっている」という話をされました。
素敵な発想だと感心しました。
こうすることで、『今日はお母さんは私のもの』という、母親の愛情確認ができるわけですよね。
この発想を、学校での不登校の子以外に対しても、アレンジして活用することはできないでしょうか。
他の子たちが、『不登校の子だけ特別扱い』と、不満を抱くのはなぜでしょうか。
それは、自分が特別扱いされていないからではないでしょうか。
そうならば、学級全員を特別扱いしてみたら、どうでしょうか。
例えば、係活動に毎日誠実に取り組んでいる○○さんに、「○○さんの活動のおかけで、掲示物が見やすくて有難い。助かるね」と認め励ますこ
とで、○○さんの自己肯定感は着実に上がっていくと考えます。
先ほどのお母さんの例のように、さまざまな場面でさまざまな子どもの取り組みを認めることで、子ども一人一人の自己肯定感が高まっていくの
ではないでしょうか。
先ほど紹介したように、それぞれ異なる場面で認められることで、生徒一人一人が自分に自信をもつことができるようになってくると考えます。
そうすると『自分にOKと言える人は他者にもOKと言える』という自己肯定感の考え方(アドラーの考え方)のように、他者に対して寛容にな
るのではないでしょうか。
そうすれば、不登校の生徒の下手なコミュニケーション受け止める級友たちのキャパシティーも育っていくのでは?と考えています。
最も、この根底には一人一人の子どもを見る先生の成長も、大切となりますが…
みなさんは、あなたはどのように思われましたか?
(学校という場面で、説明しましたが、ご家庭等でも十分で適応できるのではないかと考えます)
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。