【子どもの心 若者の心 そして‥】7『みんなちがって みんないい』を具現化しよう
目下、集団への適応が苦手な子ども及びその周囲の子どもたちへの対応について考えています。
とりわけ、集団の中での【個の尊重と集団の協調性】の兼ね合いの難しさについて取り組んできました。
最初に、個の尊重について、『子どもたちを本当に大切にするとは、彼等に社会で生きていく力を身に付けさせる』こととお話しました。
(例えば、ソーシャルスキルトレーニング 詳しくは以前のブログをご覧ください。)
そして、夢中になると他のことが見えなくなってしまうAくんの事例を基に、一人を大切にする考え方は、その一人を特別扱い(子どもたちの言
い分では、ひいき)するのではなく、そうした扱いを全ての子どもたちに対応していく考えにつながると思います。
これこそが、全ての子どもたちを大切にする【ユニバーサルデザイン】の考え方とお話しました。
そして、前前回からもう一つの考え方集団の協調性について、取り組んでいます。
以下の事例(概略)を基に、考えています。(詳細は、前回または前々回のブログ参照)
④不登校傾向の生徒が、野外学習に参加した。キャンプ生活に慣れているので、苦手な級友たちにアドバイスしたが、コミュニケーションが苦手な彼の言い方に他の生徒たちが腹を立て、不用意な発言をしたので、彼は「帰る」と主張し、保護者とともに帰ってしまった‥
こういった類の問題は、学校ばかりでなく、社会生活全般でよく起こることと思います。
おそらく、大人ならば上手に(その良し悪しや真意は別として)スルーしていくことかなぁと思います。
正直「仕方なかったかなぁ」と思います。
しかし、「仕方ないよね」だけで、終わらせることではないとも考えます。
みなさんお分かりのように、このトラブルの原因は『マス掴み』にあるわけではありません。
このトラブルの原因は、野外学習へ参加する前にA君に対して、そして他の生徒たちに対して、どのような活動を目指すのかとい
う共通の目標設定がなされていなかったというところにあると考えます。
今までお話してきたように、Aくんには「ぜひ参加しよう」と勧めるとともに、「みんなと一緒に野外学習に行くというのは、家族で行くキャン
プとは、何が違うと思う?」と、考えさせることが必要ではないでしょうか。
これも、言わばソーシャルスキルトレーニングの一つと言えるかと思います。
そうすることで、Aくん自身のソーシャルスキルを高めるとともに、事前に『集団の中の自分』を意識づけることが可能と考えます。
それは、よく行われる『持ち物確認』『日程確認』といったことと同じように大切ではないでしょうか?
その一方、他の生徒たちにも「欠席が多いAくんが野外学習へ参加する。みんなと、今まであまり一緒にいなかったから、気持ちがうまく伝わら
なくてトラブルが起こるかもしれない。どうすればいいのだろう?野外学習へ行く前に、何かやっておくといいことってあるかなぁ」と問題提起
をして、生徒たちに事前の対応や当日の対応について考えさせることは肝要と考えます。
こうした全体への働きかけをすることで、
① 他の生徒たちが、Aくんのことを意識するようになる ことを目指しましょう。
今までの体験から、欠席が多い生徒が行事等に参加すると、『お客さん』扱いだった事例をよく見てきました。
『お客さん』扱いは、他の生徒たちの腰が引けていますから、Aくんがどのような言動をしてもスルーされて、大きなトラブルが生じることは少
ないでしょう。
しかし、そうした場合には『Aくんが参加した』という状況は一過性なことで終わり、Aくん自身にとっては心に残るものとはならず、他の生徒
たちにとっても、相変わらずAくんが自分たちにとって級友であるという思いは生まれてこないと考えます。
その次に
② 他の生徒たちと同じように、Aくんにも役割を決める
いかがでしょうか。
今まで、Aくんのように配慮が必要な生徒が授業を含め、さまざまな活動に参加したときに、「いいよ。Aくんは無理しなくても。」と言葉がけ
をしている先生や学級のリーダーを見かけられたことって、ありませんか?
私は、ちょっと及び腰で腫れ物に触るかのような対応をよく見てきました。
ひょっとして、現役の教師をしていた時の私自身もそうだったかもしれません。
そうされている先生の気持ちはよく分かります。
「休みがちなAくんがせっかく来たのだから、少しでも長く学級生活を体験させたい」という気持は、よく分かります。
しかし、どうでしょうか?
私たちも、例えばあまり親しくない人たちの集まりに参加して、何も仕事がなくて、他の人たちがいろいろ動いていたら、何だか居心地の悪さを
感じるのてはんいでしょうか?
大人も子どもも同じです。
ぜひ、Aくんを『お客さん』扱いにするのではなく、何か役割を与えてみましょう。
もちろん、当日「はい、これやってね」では、Aくんは戸惑うことでしょう。
ですから、事前にAくんに「みんないろいろミッションがあるんだよね。やることが多いから、君の力も借りたいんだけど、○○という仕事と
△△という仕事だったら、どっちをやってくれる?」と話し合ってみたらどうでしょうか。
もちろん、Aくんがやれそうな仕事、話し合いの前に事前にリサーチしておきましょう。
そして、学級の生徒たちに「Aくんは○○という役割があるから、困っていたらみんな協力してあげてね」と、声をかけておくことも肝要と考え
ます。
正直、手間暇のかかることです。
しかし、事前に少しの手間暇をかけることで、活動本番やその後に生徒たちが感じる満足感は大きなものになると思います。
ここまでのお話、いかがだったでしょうか。
集団の中での【個の尊重と集団の協調性】の兼ね合いは本当に難しいことと考えます。
しかし、だからこそ、【個の尊重と集団の協調性】が達成とれた時に、一人一人の生徒も学級全体も大きく成長するのではないでしょうか。
それこそが、まさしく『みんな違って みんないい』という【多様性】の社会が具現化された姿と思います。
ぜひ、一緒に取り組んでいきましょう。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。