子どもたちは、話したがっている ⑳ 「聴くときに心掛けたいこと・スキル」①

(万博会場のドローンショー)

いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。

 

スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。

そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。

そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。

そんな『気持ちを分かってくれそうな大人』になるための第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。

しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、いろいろな悩みが生じてきます。

 

第1部 子どもたちか゜「話さない」理由及び解決の提案について考えました。(以前のブログをご覧ください)

第2部 具体的な事例をもとに考えました。(以前のブログをご覧ください)

事例1 「うーん、訊き方下手!『大丈夫か?』では、誰も答えないよ」

事例2 「先生、あなたの進路ではなく私の進路です」

事例3 「先生の偏見で、私を見ないでください」

事例4 「先生、私も見て!」

事例5 「約束って‥それ、俺の約束じゃねえし‥」

事例6 「伝えたいのは何?力関係?それとも気持ち?」

(以上については、以前のブログをご覧ください)

 

そして、今回からは『話を聴くときに心掛けたいこと』と、そのスキルについて考えていきます。(一部、今までの内容と重複しますが、ご了承ください)

第3部 「聴く」ときに心掛けたいことについて

事例  話に来なくなった、中学1年Aさんの場合

Aさんは、口数が少なく友達も少ない、おとなしい感じの子です。ところが、ある時担任の先生がたくさんのノートなどを持って階段を駆け下りてきたら、職員室前にAさんがいました。Aさんが自分から職員室前に来る等ということは今までなかったので、「自分を頼ってくれているんだ」とうれしくなった先生は、で、「おっ、Aさんどうした?先生に用があるんだね。どうした?何だった?話聞くよ」と勢いよく話しかけました。すると、Aさんは「あっ、いいです」と言って、去っていき、その後話に来ませんでした。

さぁ、なぜだと思いますか?

今まで、多くの方(学校での現職教育、一般の方対象のコミュニケーションセミナー等)に同じ質問をしてきました。

多くの方が、「先生が忙しそうだから、遠慮したんじゃない?」「その時は大変なことと思っていたけど、その後そんなに大したことじゃなくなったのでは?」等と言われました。

そうですよね。

何が理由なのかは、直接Aちゃんに訊いてみなければ分かりませんよね。

でも、こんなことも想像できませんか?

もしも、先生が勢いよく話しかけなかったら、どうでしょうか?

もしも、先生が立て続けに7勢いよくはなしかけなかったら、どうでしょうか?

もしも、先生がその場所ではなく、別の場所(どこでもいいのです。職員室前のようにのいつもザワザワして、たくさんの人がいるところではなく、静かて落ち着く7場所)で話そう7としたら、どうでしょうか?

そして、授業と授業の間の時間て、実際にはとても短くて、落ち着いて話す等ということができる場所ではないのです。

こんなことを考えてみると、Aちゃんはただ単に「先生は忙しそうだから遠慮しよう」というよりは、「この人に話しても無駄ね」と、先生を見限ったのではないでしょうか。

もし、そうならば、これはとても怖いことと考えます。

第1部でお話した「言ってもむだ」の具体例に他ならないと思います。

では、どうすればよいので7しょうか。

 

ここで、相手との会話で気を付ける約束について考えます。

約束1 話す速さ、声の大きさ、声のトーン(明るさ)を、相手に合わせる

例えば、カフェで注文を訊きに来たお店の人が、小さな声でめちゃめちゃ暗いトーンで「ご注文は何でしょうか」と尋ねてきたら、あなたはどんな気持ちになりますか?

「入る店を間違えたかなあ」と、一瞬マイナスな気持ちがよぎりませんか?

Aちゃんの場合には、先生の声が大きすぎて、明るすぎて、早すぎたのでAちゃんは「ちょっと無理」と思ったと想像しますが、上記のカフェの件では逆のことが考えられます。

私たち大人どうしでも、話していて疲れる方ってありますよね。

子どもが大人と話すならば、なおさらです。

ぜひ、相手に合わせてみてください。

 

このように考えてみると、いろいろなことが思い浮かぶかと思います。

次回、それらについて考えていきます。

次回も、よろしくおつきあいください。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。