【子どもの心 若者の心 そして‥】17 One for All は教えられたけど、All for Oneってあったっけ?
(↑スクールカウンセラーとして勤務している学校の特別支援学級の子どもたちの作品です)
このところ、「相手との関係性が深まると、何でも言える関係になる」といった思い込み(と思います)について、考えています。(詳細については、以前のブログをご覧ください)
そんな折、SNSで『褒められたくない若者たち』という記事を目にしました。
今の若者は、『褒められたくない、目立ちたくない、埋もれていたい』との考えです。
実際、大学生と関わる中で、こうした思い・感情を感じることがあります。
新学期が始まりました。
教職科目の一つである『生徒指導』の授業の、初回の振り返り(各学生が考えや質問を記述して提出)の中で、興味深い記述がありました。
○今まで当たり障りのない今まで当たり障りのないように生きようと学んできたし、自分もそうしていた。
『当たり障りのない生き方』って、まさしく『褒められたくない、目立ちたくない、埋もれていたい』という生き方そのものですよね。
もちろん、どのような生き方を選ぼうとも、それは個人の自由です。
しかし、『当たり障りのないように学んできた』の、『学んできた』となると話は別です。
すなわち、学校が教員が教育が『当たり障りのないように生きる』と、教えてきたということではないでしょうか?
そこで、前回『当たり障りのないように生きるとは、どのようなものか』について、仲良し(と、自分たちも周囲も思っている)4人のグループ(AさんBさんCさんDさん)のメンバーが「GWの計画」について話し合うという場面を設定して、具現化してみました。
(詳細は、前回のブログをご覧ください)
たかが一日遊びにいくだけのことです。
また、時代や状況によって『友だち』の定義は変わっていくものとも思います。
しかし、昭和の人間である私からすれば「遊びに行くところ一つ決めるだけで、こんなに気を遣って大変ねえ」と、心配になります。
疲れるだろうなぁとも思います。
この「周囲に気を遣い、空気をよみ、『面倒な人』と思われないようにするのが、今の若者たちのリアルな姿だなぁ」と納得もします。
これこそが、当たり障りのない生き方そのものと考えます。
これで、『当たり障りのないように生きる』具体的な姿について、共通理解していただけたのではないでしょうか。
ここから『教育の何が、子どもたち若者たちに、こうしたことを教えてきたか』について、考えていきましょう。
小中高を問わず、学級にはたくさんの児童生徒がいます。
ですから、何かを決めるときに満場一致とは、なかなかなりません。
例えば、『今度学級でレクをやりたいけど、みんなは何がやりたい?』という質問に対して、『ドッジボールがやりたい32人 他がいい2人』と
いった具合です。
この時に、あなたが、みなさんがこのクラスの担任ならば、どうされますか?
授業で、大学生たちに尋ねたところ、「2人にやりたくない理由を尋ねて、みんなが参加できるように工夫する」「今回はドッジボールをやり、
次回2人のやりたいことをやる」と、いろいろな意見が出ました。
少なくとも、即座に「多数決で決まったから、文句言わずにドッジボールを全員でやる」と主張する学生はいませんでした。
しかし、昔はそうではありませんでした。
少なくとも、私が新米先生だった頃は、少数意見の児童・生徒に「なぁ、みんながやりたいと言っているんだから、わがまま言わずに一緒にやっ
てやれ」と指示する教員は少なからずいましたし、学校ばかりでなく社会全体がそうした風潮だったと思います。
すなわち、多数者の意見が正しいのだから、少数者はそれに従うべきであり、反対するのはワガママという風潮だったと思います。
大人の言葉で言えば、長い物には巻かれろでしょうか。または、出る杭は打たれるでしょうか。(ちなみに、私はよく打たれていましたハハハ)
そうした「教育」を受けたならば、子どもたちは『当たり障りのないように生きる』ようになるのは、ごく自然のことではないでしょうか。
そして、さらに問題なのはこうした事例が過去のことだけではないということです。
ラグビーなどでよく言われ、今や市民権を得ている言葉として、「One for All All for One」があります。
みなさんご存じのように「一人はみんなのために みんなは一人のために」です。
でも、ご自分の歴史を振り返ってみてください。
「みんなのためにガンバレ」と言われて、学校行事などで頑張った体験を多くの方はお持ちかと思いますが、「みんなで一人のために頑張ろう」
という体験ってなかなかないのではありませんか?
あるとしたら、『病気の○○くんを支えて、◇◇のことを頑張ろう』といったきわめてレアなケースかと思いますが、いかがですか。
あるとしても、圧倒的に両者のバランスが崩れているように思えてなりません。
あなたは、みなさんはいかがお考えですか?
次回、考えましょう。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。