【友だちという呪縛~ボッチ上等~】20 協調性?同調圧力?
現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。
中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、
決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。
そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。
「私を助けて」と訴えることができない子どもたちの背景・環境について考える。
子どもたちの状況1 思春期の発達段階について (詳細は以前のブログ参照)
① 身体の急激な変化
② 心の急激な変化
③ 他者との関係性の変化
子どもたちの状況2 対人関係形成力の低下 (詳細は以前のブログ参照)
① 狭い閉じた小集団の一員となる
② 小集団の中で、同調的な関係が優先される
『アイメッセージ』という、コミュニケーションについて学ぶ場で、よく使われる手法をご存じでしょうか?
『アイメッセージ』は、相手との関係づくり・コミュニケーションにおいて、とても価値あるスキルではないかと思います。
ただし、現代の若者たちの間で、『例 待ち合わせに遅刻してきた相手に対して‥』
「いいの。いいのよ。待つなんて大したことじゃないから。心配しなくていいよ。全然気にしていないよ」
と返答するケースが多いことに、昭和生まれの私はとても驚いていると、前回お話しました。
そこで、前回のブログのタイトルを『なんか変だなアイメッセージ』とした次第です。
みなさんは、いかが思われましたか?
「どうして?」という思いを抱かれた方もいらっしゃるかと思います。
そこで、今回からもう一つの視点で考えていきます。
子どもたちの状況3 子どもたちを取り巻く環境の変化
① 日本社会のピアプレッシャー
以前、小学校のクラスでのレクリェーション決め『32人がドッジボールを選び、2人が嫌だと言う』場合に、どのように決定するかということ
を、お話したかと思います。
大学の授業でも課題としましたが、「どうして嫌なのかを2人に尋ねて、ルールを少し変更する」や、「今回はドッジをやり、次回は2人の希望す
ることをやる」等といった、少数派を大切にする意見が多く発表されました。
そうだろうなぁと、思います。
小学生ですから、「ボールが痛いから嫌」という子どももいることでしょう。
そうならば、(柔らかいボールにする)(ずっと外野にいる)といった工夫をすれば済むことです。
みんなで話し合い、担任が配慮することで、新たな解決策を見つけられるかと考えます。
しかし、昔はそうだはなかったと思います。
私が新米の教師だった頃は、少数派に「なぁ、みんながドッジをやりたいと言っているのだから、一緒にやってやれ」と主張した教員は、少なか
らずいました。
そういう時代というよりも、その教員自身が、他の選択肢を知らなかったからと推察します。
そうなんです。
これが、いわゆる『同調圧力』(ピアプレッシャー)の一つの表れではないでしょうか。
私たち日本人が、そのDNAに刷り込まれているかのような、周囲と同じことを要求される傾向です。
私たち大人と同じように、子どもたちも周囲に合わせて、気を遣って生きているのです。
子どもの世界は、大人の世界と決してかけ離れてはいないのです。
こうした日本社会の傾向?雰囲気?について、大学の授業で次の2つの発言がありました。
❶ 私は昔から空気を読んだり、集団行動をしたりといったことが苦手だったので、中学校のクラスでも、みんながまとまって行動しているとき
に、別のことをしているというようなことがよくあった。そのせいで、クラスメイトから疎まれることは仕方ないと思っていた。
❷ 協調性と同調圧力について深く考えさせられた。学校という集団生活をおくる上で、協調性は必要不可欠なものであると思うが、それが時に
は同調圧力になつてしまうことを知り、とても難しい問題だと思った。私自身、日常生活の中で人と違う言動をする勇気がなく、いつも誰かと行
動したり、考えを一緒にしたりしてしまう。
いかがですか?
みなさんは、あなたはどちらの意見に自分と似たものを感じますか?
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい
ます。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。