【友だちという呪縛~ボッチ上等~】18 アイアイアイメッセージ?
現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。
中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、
決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。
そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。
「私を助けて」と訴えることができない子どもたちの背景・環境について考える。
子どもたちの状況1 思春期の発達段階について (詳細は以前のブログ参照)
① 身体の急激な変化
② 心の急激な変化
③ 他者との関係性の変化
子どもたちの状況2 対人関係形成力の低下
① 狭い閉じた小集団の一員となる
② 小集団の中で、同調的な関係が優先される
前々回より、この傾向を助長することとして、私たち日本人の国民性とも言える【同調性】について、私の授業を受講している二人の学生さんの意
見をもとに考えています。
学生A 『私は昔から空気を読んだり、集団行動をしたりといったことが苦手だったので、中学校のクラスでも、みんながまとまって行動していると
きに、別のことをしているというようなことがよくあった。そのせいでクラスメイトから疎まれることは仕方ないと思っていた。以下略』
学生B 『協調性と同調圧力について深く考えさせられた。学校という集団生活をおくる上で、協調性は必要不可欠なものであると思うが、それが
時には、同調圧力になつてしまうことを知り、とても難しい問題だと思った。私自身、日常生活の中で人と違う言動をする勇気がなく、いつ
も誰かと行動したり、考えを一緒にしたりしてしまう。』
学生Aさんに対しては、前回のブログを私の考え・思いを記述しました。(よろしければ、前回のブログをご覧になってください)
みなさんは、どのように思われますか?
ここまでが、前回のお話でした。
今回は、学生Bさんについて、考えていきましょう。
みなさんは、『アイメッセージ』という、コミュニケーションについて学ぶ場で、よく使われる手法をご存じでしょうか?
簡単に説明します。
例えば、あなたが友人と待ち合わせをしていたところ、なかなか相手が現れない。
電話もメールもない。
1時間経ったところで、相手があたふたとあなたの前に現れました。
さぁ、そこであなたは相手に対して、とせのように声掛けをしますか?
小学生男子でしたら、「どうしたんだ!すごく待ったんだぞ。マジ切れ! ムカつく!」と相手の事情も聞かずに怒り出しで、トラブルになるかもし
れません。(もっとも、私が日頃カウンセラーとして勤務している小学校の子どもたちは、待たないでどこかへ行ってしまうかも‥ですが)
しかし、さすがに大人はこれをできません。
そこで、多少の嫌味を言うことになるのかなぁと思いますが‥
「時間に遅れたので、後ろに並んでいた人たちが先にお店に入ったわ」とか「電話とかメールとかしてくれたら、こんな暑いところで待たなくて済ん
だのに‥」といった具合でしょうか?
こうした会話ですと、主語は相手「あなた」になっていますよね。
すなわち「あなたが遅れたので‥」「あなたが電話とかメール‥」といった具合です。
これらを、主語が「あなた」=YOUということで、『ユーメッセージ』と言います。
このメッセージの特徴として、『上から下へ』の気持ちが現れています。
そこで、先の例で『待たせられた人』のユーメッセージに対して、言われた側(待たせた人)は、「そりゃ確かに遅刻した私が悪いけど‥でも、そこ
までひどく言わなくてもいいよね」という気持が起こってしまい、自分自身の申し訳ないという気持がうすくなってしまうことがあります。
そこで、『ユーメッセージ』の反対である『アイメッセージ』で話すことが、勧められています。
上記の待ち合わせ場面ならば、「心配していたけど、無事でよかった」という話しかけでしょうか。
主語は「私」=Iとなります。(アイメッセージのアイは、英語の単語のIです。愛ではありません)
こうすると、決して上下関係で話しているのではなく、立場は対等です。
そして、あなたがもし遅刻した時にこう言われたら、「ごめんね。そんなふうに優しく言われたら、ますます申し訳なく思える」となるのではないで
しょうか。
いかがですか。
『アイメッセージ』は、相手との関係づくり・コミュニケーションにおいて、とても価値あるスキルではないかと思います。
そして、ここでもしも話題となっているBさんならば、どのように話すかを考えてみてください。
私の妄想
「Bさんは絶対に『ユーメッセージ』では話さないと思います。そんなことは、彼女の頭の中にはないでしょう。となると、『アイメッセー
ジ』で話すのでしょうが‥」
(前回、Bさんへのアドバイスを考えてくださった方は、今回も考えてくださいね)
連絡なく遅刻してきた相手に対して、Bさんは「いいの。いいのよ。私暇だったから全然平気。気にしないで」と言うのではないでしょうか。
どう思いますか?
これって、『アイメッセージ』?
次回、一緒に検討していきましょう。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いてい
ます。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。