未来の教員を目指す学生と関わって4部④
この連載の第1シリーズとして、発達障害を中心とした【学級・学校に適応することが難しい子どもとの係り】について、また第2シリ
ーズとして【学力差がある集団への係り】について、第3シリーズでは、【一見仲良さそうに見えるなれあい集団内部への係り】につい
て、教員を目指す彼らが抱えている不安について考えてきました。
現在の第4シリーズでは、『教職を目指す学生が考える【理想の教師像】』をスタートとして、教育相談の持ち方などについて考えてい
きます。
さて、『教職を目指す学生が考える【理想の教師像】』アンケートについては、前回ご説明しました。
アンケート【理想の教師像】は以下のとおりです。
1 学習面で、教え方が上手で知識も豊かである
2 悩みを抱えている子どもへ寄り添う気持ちが強い
3 係活動や学級通信など、学級経営に熱心である
4 昼食後などに子どもと遊ぶなど身近な存在である
5 部活動や生徒会の顧問など、活動の中心である
6 問題行動をしてしまう子どもと正面から向き合う
7 緊密に連絡をとり保護者との関係がよく信望もある
8 いつも穏やかであり、子どもとも自然体で付き合う
9 管理職となり、学校地域の教育を改革していく
そして、このアンケートからは、なかなか興味深い結果が見えてきました。
1 第1位となったのは、2 悩みを抱えている子どもへ寄り添う気持ちが強い でした。
とりわけ、あと数か月で大学を卒業し、教員としての人生を始める学生にとっては、『 悩みを抱えている子どもへ寄り添う気持ちが強
い』教師像は、明日の自分そのものであるとともに、自分自身の不安な気持ちの投影とも考えられます。
彼らの不安な気持ちの要因の一つは、『彼ら自身の優しさ』にあるように考えます。
2 『彼ら自身の優しさ』が、ストレスの要因となることの一つの表れ
先日、大学の授業で、『自己肯定感』を高めるスキルの一つとして、『アイメッセージ』のロールプレイをしたところ、驚かされること
がありました。
それは、『友人が約束時間に現れず、長時間待たされていた。そこへ、友人があたふたと現れた。あなたは、どのような対応をするか』
という課題でした。
以前から、この課題には取り組んでいますが、その際には「私をこんなに待たせてひどいじゃない。いい加減すぎるわ」と激高するので
はなく、「連絡がなくて心配していたわ。あなたが無事で安心した」という対応を勧めるという課題です。
すなわち「あなたは、私を待たせてひどいじゃない。あなたはいい加減すぎるわ」という『あなた=You』メッセージではなく、「連
絡がなくて、私は心配したわ。あなたが無事で、私は安心したわ」という『わたし=I』メッセージで話そうというスキル練習でした。
このスキル練習に取り組んでいて、「えっ、そんな冷静に言えないなあ。やっぱりムカつくよね」といった反応は、以前から何度か聞い
たことがあり、講師のこちらとしても、「まあ、素直な感情だなあ」と納得する場面も多々ありました。
しかし、今回の反応は全く反対でした。
すなわち、初めから『待たせた相手に対しての非難』等ということが、全くなかったのです。
むしろ「相手にも事情があるから、仕方ないよね」「相手が遅れてくるくらい、別に問題ではない」「私が少し我慢するだけで済むなら
大したことじゃない」といった反応ばかりでした。
むしろ「人を待たせるのは良くない」と、当初ワークシートに書いていた学生は、授業後に「私は、相手の気持ちを考えずにひどいこと
を言ってしまった」と反省を書いていました。
これって、おかしくありませんか?
ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケー
ションカフェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをごらんください。