未来の教員を目指す学生と関わって3部①
この連載の第1シリーズとして、発達障害を中心とした【学級・学校に適応することが難しい子どもとの係り】について、また第2シリ
ーズとして【学力差がある集団への係り】について、教員を目指す彼らが抱えている不安について考えてきました。
今回は、【一見仲良さそうに見えるなれあい集団内部への係り】について、考えていきます。
学校では、担任等教員が子どもたちを理解する際に、『教員自身による観察』の他に、『生活ノート』等の記述、そしてさまざまな質問
紙による調査を行っています。
質問紙はさまざまなものがあり、市販のものや、学校・教員の手作りの物などがあります。
この10年ほど全国的によく使われているものとして、QUと言う質問紙があります。
これは、マズローという心理学者の『欲求階層理論』というものをベースとして、作成されています。
すなわち、『私たちには、さまざまな欲求がある。おいしいものを食べたい・希望の仕事につきたい・健康で長生きしたい・好きな人と
付き合いたい等である。そして、それらの欲求は同レベルではないという特徴がある』ということです。
それをマズローは、ピラミッド型の図形を使って提示しました。
すなわち、一番下から順に『生理的欲求』『安心・安全の欲求』『所属・愛情の欲求』『承認・自尊の欲求』と上がってきて、一番上位
には『自己実現の欲求』となります。
下から順に充たされないと、上位の欲求は達成されないという考え方です。
例えば、難民キャンプにいる子どもにとっては、『食べるものがある・寝るところがある』という『生理的欲求』自体の達成が難しいか
もしれません。その子にとっては、『将来の夢』という『自己実現』の欲求を考えることすら難しいでしょう。
私たちの国では、虐待といったケースはあっても、概ね『生理的欲求』は達成されるかと思います。
しかしながら、ミサイルは飛んでこなくても『間違った答を言ったら、周囲からひどい言葉を言われた』という場面では、『安心・安全
の欲求』が達成されているとは言えませんね。
そうした理論に基づいて、QUは作成されています。
ハピネスでは、こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケー
ションカフェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをごらんください。