子どもたちは、話したがっている 24 「言わないことに意味がある」

この連載の、そもそもの始まりは‥
保護者の方や先生方の「子どもが話してくれない」という悩みに、お応えしようと始めました。
『スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思って
います。そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。そんな『気持ちを分かってくれそうな大人』になるための第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)
ではないかと考えます。しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、いろいろな悩みが生じてきます』
第1部 子どもたちが「話さない」理由及び解決の提案について考えました。
第2部 具体的な事例をもとに考えました。
事例1 「うーん、訊き方下手!『大丈夫か?』では、誰も答えないよ」
事例2 「先生、あなたの進路ではなく私の進路です」
事例3 「先生の偏見で、私を見ないでください」
事例4 「先生、私も見て!」
事例5 「約束って‥それ、俺の約束じゃねえし‥」
事例6 「伝えたいのは何?力関係?それとも気持ち?」
第3部 「聴く」ときに心掛けたいことについて<相手との会話で気を付ける具体的な考え方やスキル>
事例1 話に来なくなった、中学1年Aさんの場合
事例2 「私の気持ちをわかって」って?
事例3 「場面緘黙」の小学3年生と仲良くなって
スキル5 Doing よりも Being
まずは、相手に寄り添ってみましょう。(ここまでは、以前のブログをご覧になってください)
事例4 「ヤンキー生徒」の万引き騒動で気づいたこと
私が新任の教員だった頃、日本中で「校内暴力」「学級崩壊」という事件が頻発し、私が勤務している学校もそうした状態であり、大変な日々をおくっていました。私のクラスにも、そうした子どもたちがおり、校内外でさまざまな事件を引き起こすので、毎日そうした事件の指導に追われていました。そんなある日、一人の生徒が、近くのスーパーで「お弁当」を3個万引きしたとの連絡が警察からありました。翌日、彼にいろいろ問いただしたところ、「○○中学の子を殴った」とか「△△中学の子からお金をとった」と自己申告するものの、万引きの件については、何も話しがありませんでした。「万引きは?」と尋ねたかったですが、それ以外の対応に追われて、「万引きはまた後で問いただそう。どうせ友人たちと夜遅くに食べたのだろうと考えていました。しかし、その後調べていくと、「万引きしたお弁当は、彼の母親と妹と彼が食べた」ということが分かってきました。そみで、彼が「万引き」について話そうとしなかった理由が分かりました。「自分自身が悪いことをして、叱られることは仕方ない。でも、家がお金に苦労していることは、知られたくない」と言う気持ちだったと分かり切なくなりました.
私自身、深く反省した事例です。
私自身の中に、「彼は、いろいろ悪いことをやっているから、万引きを忘れているのだろう」という思いがあったのだと思います。
彼は、他の事はペラペラ話すので、「なぜ、万引きのことを話さないのだろう」と思いながらも、軽く考えていなかったのだと思います。
でも、彼にとっては「自分が悪いことをした」ことと、「家庭のお金の状況が苦しい」こととは、異なることだったのです。
「家庭のお金の状況が苦しい」ことは、他人には知られたくないことだったのです。
でも、考えてみればこういうことってありますよね。
他のことはペラペラ話すけれども、○○についてだけは、どうしても話したくないということってありませんか?
しかし、実はこのことこそが大切ということではないでしょうか。
私たちは、子どもの話を聞こうと質問したりします。
そして、子どもたちが口にする言葉について、「~という気持ちだろうか」等と、推測します。
しかし、本当に大切なことは、子どもの口からは出ずに、お腹の中にあるのかもしれません。
それなのに、言い淀んでいる子に「分かった。分かった。○○って言いたいんでしょ?」と、子どもの気持ちとは異なる方向へミスリードしたり、決めつけたりしてはいないでしょうか。
今回の事例は、そうした大切なことに気づかさせてくれたケースでした。
スキル6 「言わないことに意味がある」
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。

