子どもたちは、話したがっている 26 思い込みで、子どもの話を判断しない

『スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。
そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。
そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。
そんな『気持ちを分かってくれそうな大人』になるための第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。
しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、いろいろな悩みが生じてきます。
そんな思いから、今まで以下のことについて、考えてきました。(詳しくは、以前のブログをご覧ください)
第1部 子どもたちが「話さない」理由及び解決の提案について考えました。
第2部 具体的な事例をもとに考えました。
事例1 「うーん、訊き方下手!『大丈夫か?』では、誰も答えないよ」
事例2 「先生、あなたの進路ではなく私の進路です」
事例3 「先生の偏見で、私を見ないでください」
事例4 「先生、私も見て!」
事例5 「約束って‥それ、俺の約束じゃねえし‥」
事例6 「伝えたいのは何?力関係?それとも気持ち?」
第3部 「聴く」ときに心掛けたいことについて<相手との会話で気を付ける具体的な考え方やスキル>
事例1 話に来なくなった、中学1年Aさんの場合
事例2 「私の気持ちをわかって」って?
事例3 「場面緘黙」の小学3年生と仲良くなって
事例4 「ヤンキー生徒」の万引き騒動で気づいたこと
事例5 「場面緘黙」の彼の表情が読み取れるようになってきて‥
事例6 自分の思い込みで、子どもの話を聞いていない?
○○中学校2年3組担任のA先生は、教員になって3年目の若手です。プリントの配布を忘れたり、保護者への野外学習の説明が上手くできなくて、お母さんたちからクレームを言われたりすることもありますが、学級の子はもちろん、学年の生徒そして担当するサッカー部の生徒たちから、「A先生、また忘れ物してない?」とからかわれながらも、愛されています。そのA先生のクラスには、学校で学級でほとんど話さないBさんがいます。お母さんの話では、「家では、とてもよく話します」とのことですが、学級学校では、小学校時代から仲良しの2,3人と話すと言うか、その子たちの話をニコニコとうなづきながら、聞いている姿を見かけるくらいです。そこで、A先生はBさんに何か伝えたいときには、Aさんの仲良したちに話して、伝えてもらうようにしています。ところが、野外学習の班決め・ルール決めを学級会で話し合おうとしている頃に、Aさんが職員室まで一人で「A先生、お願いします」と、職員室の外から呼びました。先生たちは全て、Bさんが寡黙で自分からは話さないと知っているので、「A先生、Bさんが来ていますよ」と呼んでくれました。廊下で、A先生が「Bさん、何の用?」と尋ねると、ポツポツと「野外学習の班のことです」と言います。そこで、「誰かと一緒になりたいってことかな?」と尋ねると、うなづきます。そこで、A先生は「大丈夫だよ。いつもの仲良し二人と一緒の班にしようと考えているよ」と言いました。すると、「違うんです」とBさんは言います。「どうして?いいんだよ。遠慮しなくても」と説明しますが、Bさんは「違うんです」と言うばかりです。そのような押し問答の後、Bさんは「いいです」と言って去って行くので、A先生は「いいよ。また来て。続きは無そうね」と声を書けましたが、Bさんは来ませんでした。
いかが思われますか。
この話を、A先生から直接お聞きして、いろいろ質問しました。
そして、その学級の授業中の様子や休憩時間の様子を見て、私なりに「こんなことではないですか?」と、一つの仮説を立てました。
『Bさんは、先生たちが仲良しと考えているメンバーと、同じ班になりたくないのではないか』ということです。
理由1 Bさんは、確かに仲良したちと一緒にいることが多いが、理科室や音楽室等への教室移動の時には、Bさんだけが置いていかれることが結構ある。
理由2 他の子たちが「昨日、イオンであの子たちと会ったけど、Bさんだけいなかったよ」と話しているのを聞いた。
理由3 担任のA先生をはじめとして、多くの先生たちがBさんに伝えることを、Bさんの仲良し経由でつたえているが、仲良したちが「上から目線」で、Bさんに伝えている場面を見かけた。
そうしたことから、『Bさんは、先生たちが仲良しと考えているメンバーと、同じ班になりたくないのではないか』とA先生は考えました。
そのため、Bさんは「野外学習では仲良したちと一緒になりたくない」と思い、A先生に伝えに来たのではないでしょうか。
しかし、A先生は「Bさんは仲良したちと一緒になりたいに違いない」と思い込んでいたので、Bさんの気持ちに気づくことができなかったのだと思います。
いかが思われますか。
A先生は、決していい加減な先生ではなく、寡黙なBさんのことを心配していたと思います。
ですが、その時に「Bさんはあの子たちと仲良し」と思い込んでしまっていたため、Bさんの気持ちに気づくことができなかったのだと思います。
幸い、班決めまですこし時間があったので、Bさんは仲良したちとは違う班に入ることとなりました。
こういうことって、ありますよね。
「この子のためにプラスになる」と思いった上での言動が、その子の気持ちと裏腹になってしまう‥
大人の世界でもあることではないでしょうか。
スキル8 「自分の思い込みで、子どもの話を判断しない」
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。

