子どもたちは、話したがっている ⑲ 事例⑥「伝えたいのは何?力関係?それとも気持ち?」

 

いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。

 

スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。

そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。

そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。

そんな『気持ちを分かってくれそうな大人』になるための第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。

しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、いろいろな悩みが生じてきます。

 

第2部 具体的な事例をもとに考えてみます。(第1部の①~⑫ついては、以前のブログをご覧ください)

事例1 「うーん、訊き方下手!『大丈夫か?』では、誰も答えないよ」

知っておきたい知識・スキル①

『気になる話題を細かく具体的に尋ねることで、子どもが話す事柄が明確になり、話しやすくなる』

事例2 「先生、あなたの進路ではなく私の進路です」

知っておきたい知識・スキル①

『相手の相談にのるときに大切なことは、DoingではなくBeing』

知っておきたい知識・スキル②

『こころの動きは、言葉の動きよりも遅い』

事例3 「先生の偏見で、私を見ないでください」

知っておきたい知識・スキル①

『自分の色眼鏡・物差しをはずして、子どもと向き合おう』

事例4 「先生、私も見て!」

知っておきたい知識・スキル①

『目立つ子、目立たない子すべて、私のクラスの子』

事例5 「約束って‥それ、俺の約束じゃねえし‥」

知っておきたい知識・スキル①

『約束は、誰の約束?』

 

(ここからが、新しい内容です)

事例6 「伝えたいのは何?力関係?それとも気持ち?」

前回の事例の内容を蔬異形します。

中学2年生Aくんのお父さんが、「息子の気持ちが分からなくなって‥」と相談にいらっしゃいました。お父さんが言われるには「息子は家へ帰ってくると、いつもゲームばかりしていて、宿題も満足にやろうとしません。そこで、先日息子とじっくり話し合って、『8時から1時間だけは勉強する』と約束したのですが、一昨日帰宅したら、勉強しないで相変わらずゲームをしていました。それで、大喧嘩となったのですが‥約束したことすら守れない息子に腹が立っています。これから、どうしていけばいいですか?」という相談でした。

ここで、考えてみたいことがあります。

この事例でのお父さんは、『どうして、そんなにまでしてゲームよりも勉強』と主張されたのでしょうか。

ここで、お父さんとスクールカウンセラーである私との会話を紹介します。

(お父さんが「おやじにずっと怒られた後で、『約束だぞ。分かったな』と言われたら、私も『約束する』と否応なく答えますね」と言われた後で‥)

スクールカウンセラー「お父さんは、どうして彼にそんなに勉強しろと言われたのですか」

お父さん      「来年は、高校入試がありますからね」

スクールカウンセラー「息子さんに、いい高校へ行ってほしいと‥」

お父さん      「まぁ、そんなとこです。父親としては、当たり前かと‥」

スクールカウンセラー「本当にそうですか?お父さんとお話していて、それだけではないと思えてきたのですが‥」

お父さん      「…‥…まぁ、大したことではないですが…」

スクールカウンセラー「よろしければ、お聞かせください」

お父さん      「私が中学生の頃、クラスにとても勉強ができない子がいて、みんなにからかわれていたのです、私はいじめてはいなかったのですが、でも助けてあげたということもなく…『かわいそうだなあ』と見ていました。

          ですから、勉強しないことで息子があんなふうになったら嫌だと思って‥ついつい言ってしまったということがあるかもしれません」

スクールカウンセラー「お父さん、それを話してくださいよ」

お父さん      「こんなことをですか?」

スクールカウンセラー「それをです。お父さんの彼を思う気持ちを伝えてください」

お父さん      「…考えてみます」

という会話です。 

 

みなさん、分かっていただけましたか?

当初、お父さんが息子に無理に約束(?)をさせていた時は、『お父さん』という立場で、上下関係を基にして約束というよりは、言わば『従わせた』ということです。

こんな状況では、彼は全く納得していないので、たやすく約束(?)を破るわけです。

しかし、お父さんが「子どもの時の体験から、とても心配している」という自分の気持ちを話したら、状況は少し変わるのではないかと思います。

いかがですか?

私たちが、大切な誰かに話す時は、自分の気持ちを伝えたいのではないでしょうか。

力関係で従わせるということとは、全く別の次元ではないでしょうか。

それは、親子関係に限らず、大人同士の関係でも同様なことが言えるのではないかと考えます。

もちろん、相手に気持ちを伝えるというのは簡単なことではありません。。

しかし、より良い関係づくりの第一歩として、取り組んでみましょう。

知っておきたい知識・スキル①

『伝えたいのは、私の気持ち』

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。