子どもたちは、話したがっている ⑫提案「話を聴けない人は‥自分にOKと言えないから」

いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。(詳細については以前のブログ参照)

 

スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。

そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。

そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。

では、我々大人はそんな彼等に対してどのように対していけばいいのでしょうか。

それは、ありふれた表現になってしまいますが、根気よくきちんと接することと考えます。

では、根気よくきちんと接するためには、どうすればよいのでしょうか?

その第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。

しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、(経験された方は分かると思いますが)いろいろ大変なこともありま

す。

(以下の詳細は、以前のブログを参照ください)

その1 「話をきちんと聴きたいけど、同じ話がエンドレスに続いて正直疲れる」

知っておきたい知識・スキル①

 『本当の困りごとは、水戸黄門の印籠と同じく、終わり10分前に出てくる』

知っておきたい知識・スキル②

 『【枠】をつくってあげる方が、話しやすいときもある』

その2 「話を聴いても、気の利いたアドバイスするって難しい‥」

知っておきたい知識・スキル①

 『「気持ちをわかる」とは、「分かる」であって、「判る」「解る」ではない』

その3 「話し上手っているけど、聴き上手もいるの?」

知っておきたい知識・スキル①

 『「聴き上手」のためには、波長合わせが大切』

知っておきたい知識・スキル②-1(この詳細は、前回のブログを参照ください)

 『話を聴けないのは、相手を信じていないから?

(ここからが、今回の内容です)

知っておきたい知識・スキル②-2

 『話を聴けないのは、自分自身にOKと言えないから?

前回、『話を聴けない人』の特徴についてお話しました。

すなわち、「子どもと約束をするが、その約束がうまくいかない」と嘆くお父さんの事例から、『親子できちんと話ができない(

約せっかく交わした約束が反故になってしまう)』のは、親自身が子どもを信じていないからではないか?』という話をしたと思い

ます。

でも、私自身の体験から「それだけではない。異なるケースもある」と思いました。

今回は、『話を聴けない』別の理由を考えてみます。

ちよっと、みなさん自身を振り返ってみてください。

例えば、あなたのお子さんが帰宅して「お母さん(お父さん)、ちょっと聞いて」と言います。そして、「今度の野外学習のチーム決めを来週することになったんだけど、私は仲良しのAちゃんBちゃんと三人がいいと思う。でも、今日の帰り道でそう言ったら、Aちゃんがちょっと変な顔して‥Bちゃんと先にさよならしたら、Aちゃんが『さっきの話だけど、私はBちゃんじゃなくてCちゃんを入れたい』って言うの。今さらBちゃんに嫌なことも言えないし‥私、どうすればいいんだろう」と、相談してきたとしましょう。

さぁ、あなたはどうしますか?

わずか三日間の野外学習のチーム決めです。

大人の感覚では、「まぁ、それくらいの間、それとなく過ごせばいいんじゃない?」と思われるかもしれませんが、子どもにとって

は一大事です。

そんな『悩み』を相談された時に、あなたならばどのような対応をしますか?

例えば、「会社で企画したことが採用され上司に褒められて、自己肯定感が高くワクワクしている」あなたならば、どうしますか?

例えば、「義理のお母さんから、家の修繕について嫌味を言われて、言い返せず心の中に不満が溜まっている」あなたならは、どう

しますか?

前者は、自分心の中に満足感があり穏やかななので、「ちよっとそれは大変ね。お母さんもそんな体験したことあるわ。その時は~

~としたけど、同じとはいかないよね。AちゃんBちゃんCちゃんって、どんな子なの?」と、落ち着いて親身に聴くことができる

かもしれません。

しかし、後者はどうでしょうか。

「えっ、何それっ。そんなに深く考えなくていいんじゃない?みんな、そんなこと忘れているんじゃない?」と、簡単に片づけてし

まうかもしれません。

仮にそうだとしたら、この両者の違いはどこから生じるのでしょうか。

もちろん、保護者自身の性格にもよるでしょうし、それまでの親子関係にもよると思います。

しかし、多分に話を聴く側(この場合は保護者)の、その時の心の状態によるのではないかと考えます。

いかがでしょうか。

みなさん自身が、(子どもに限らず)相手と関わる時の、自分の心の状態によって、相手への対応が異なるのではないでしょうか。

 

この世の中に、『完璧に良い人』『完璧に悪い人』なんでいません。

ですから、『完璧に良い人』『完璧に悪い人』とカリカチュアした『水戸黄門』のドラマを観て、多くの人がホッとするのではない

でしょうか。

『良い人』『悪い人』は、それを受け取るこちら側の主観で決まると考えます。

相手を受けとめるこちらが、気持ちが落ち着き前向きならば、相手をポジティブに受け止められるでしょうが、こちらがイライラし

いる状態では、相手の一挙手一投足をネガティブに捉えてしまうと思います。

「金持ち喧嘩せず」とは、そんな一面を表しているのかもしれません。

そう考えると、相手の話を聴くときにスキルがあるのは素晴らしいと思いますが、何よりも聴く側が心を落ち着けて聴きたいもので

す。

すなわち、『私はOK』という状態て相手の話を聴きたいものです。

 

いかがでしょうか。

次回からは、具体的なスキルについても、考えていきたいと思います。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ

ェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。