子どもたちは、話したがっている ⑪提案「話を聴けない人は‥相手を信じていないから?」
いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。(詳細については以前のブログ参照)
スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。
そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。
そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。
では、我々大人はそんな彼等に対してどのように対していけばいいのでしょうか。
それは、ありふれた表現になってしまいますが、根気よくきちんと接することと考えます。
では、根気よくきちんと接するためには、どうすればよいのでしょうか?
その第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。
しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、(経験された方は分かると思いますが)いろいろ大変なこともありま
す。
(以下の詳細は、以前のブログを参照ください)
その1 「話をきちんと聴きたいけど、同じ話がエンドレスに続いて正直疲れる」
知っておきたい知識・スキル①
『本当の困りごとは、水戸黄門の印籠と同じく、終わり10分前に出てくる』
知っておきたい知識・スキル②
『【枠】をつくってあげる方が、話しやすいときもある』
その2 「話を聴いても、気の利いたアドバイスするって難しい‥」
知っておきたい知識・スキル①
『「気持ちをわかる」とは、「分かる」であって、「判る」「解る」ではない』
その3 「話し上手っているけど、聴き上手もいるの?」
知っておきたい知識・スキル①
『「聴き上手」のためには、波長合わせが大切』
「上手な聴き方のスキル」=「傾聴」です。
「傾聴」って、よく聞かれる言葉ですよね。
「傾聴」という言葉には、いろいろな要素が含まれていますが、まずは『波長合わせ』について考えます。
『波長合わせ』とは、『話す速さ』『話す音量』『話すトーン』を、相手に合わせるということです。
(ここからが、新しい今回の内容です)
では、それ以外はいかがでしょうか。
「話し合う」って、口で言う言葉だけが問題ではないですよね。
そんなスキルについて、今回はここから考えていきます。
知っておきたい知識・スキル②-1
『話を聴けないのは、相手を信じていないから?』
こんな相談を受けました。
あるお父さんが、「うちの子はゲームばかりしていて勉強しない。どうしたらいいですか?」と、相談にいらっしゃいました。そこで、いろいろ話し合い、『子どもと話し合って、勉強とゲームの時間を約束して決める』となりました。しばらくたって、該当の生徒に様子を尋ねたところ「8時からは勉強するって約束だから、ちゃんと守っていたよ。でも、7時55分くらいにテレビを見ていたら、『もう7時55分なのに、結局勉強する気はないんだな』と怒り出すんだ。まだ、7時55分で8時じゃないのに‥」と、話してくれました。なーるほど。
これって、各家庭であるあるではないでしょうか。
お子さんをお持ちの方は、こうした体験を一度はされているのではないで7しょうか。
「8時から勉強」なのですから、7時55分にテレビを見ていてもいいはずですよね。
でも、お父さんは怒りだす。
なぜでしょうか?
それは、お父さんの心の中に「約束したって、どうせ守らないだろう」という気持があるからではないでしょうか?
すなわち、お父さんは根本的なところで、わが子を信じていないのではないでしょうか。
おそらく、それまでに約束をしても反故にする子どもの姿を何度となく目にされてきたのかもしれません。
ですから、一方的に「お父さんが悪い」と言うつもりはありません。
でも‥‥せっかくの良い機会でしたのに、もったいないなぁ。
やっぱり、いったん『約束』したのでしたら、まずは信じましょうよ。
私たちだって、信じてもらえなかったら、約束を守ろうという気持にはならないのではないでしょうか。
ましてや、「せっかく約束しても、お父さんやお母さんは口だけで、私のことを信じていない」と思う子どもは、どんな気持ちにな
るでしょうか。
少なくとも、『約束を守ろう』なんていう気持には、ならないと思います。
子どもと約束したら、ぜひ信じてください。
少し話がそれますが、教職の授業を受講している4年生の学生たちが、現在教育実習の最中で頑張っています。
教育実習へ行く前に、学生たちからさまざまな質問を受けました。
「子どもたちがうるさくて、いつまでも静かにならなかったらどうすればよいか」「子どもたちの学力差が大きい場合に、授業内容
のレベルをどこに合わせればよいのか」等、さまざまな質問がありました。
そんな中に、「なめられないようにするのにはどうすれば良いですか」という質問がありました。
私は逆に「なめられたらどうしていけないのか」と質問を返しました。
そして、私たち自身が目指している教育は、そんな安っぽいものではないと話しました。
私は、同じことが「親子間での約束云々」にも言えるのではないかと考えます。
『子どもとの約束を信じて反故に』されたら、確かに腹は立ちますよね。
でも、そこで「親との約束を守らないとは何事だ」と、親の権威が傷つけられたと怒るのも、どうなんでしょうね。
親が子どもに望んでいること、願っていることって、そんんな安っぽいものではないのでは?
もう少し、どーんと構えて、信じてみましょうよ。
『話を聴けない人』について、他の場面を考えてみます。
また、よろしくお付き合いください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ
ェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。