子どもたちは、話したがっている ⑩提案「話の聴き方のスキル①波長合わせ 速さ・大きさ・トーンを合わせる」

いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。(詳細については以前のブログ参照)

 

スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。

そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。

そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。

では、我々大人はそんな彼等に対してどのように対していけばいいのでしょうか。

それは、ありふれた表現になってしまいますが、根気よくきちんと接することと考えます。

では、根気よくきちんと接するためには、どうすればよいのでしょうか?

その第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。

しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、(経験された方は分かると思いますが)いろいろ大変なこともありま

す。

その1 「話をきちんと聴きたいけど、同じ話がエンドレスに続いて正直疲れる」

ここで、まず知っておきたいことは『困った子は困っている子』ということです。

その上で、ではどうするとよいでしょうか?(以下の詳細は、以前のブログを参照ください)

知っておきたい知識・スキル①

 『本当の困りごとは、水戸黄門の印籠と同じく、終わり10分前に出てくる』

知っておきたい知識・スキル②

 『【枠】をつくってあげる方が、話しやすいときもある』

 

その2 「話を聴いても、気の利いたアドバイスするって難しい‥」

みなさん自身が、友人に相談したときのことを思い出してください。

友人に話したときに、みなさんは「この人ならば私の悩みを解決してくれる」と思って、相談していますか?

違いますよね。

ともかくも、「今の私の気持ちを分かって!」ではないでしょうか。

そうならば、アドバイスをするとは違いますよね。

知っておきたい知識・スキル①(以下の詳細は、前回のブログを参照ください)

 『「気持ちをわかる」とは、「分かる」であって、「判る」「解る」ではない』

①「判る」は、どんなときに使うのか?

②「解る」は、どんなときに使うのか?

③「分かる」について考えてみましょう。

相手の話を聴いて「あなたの話が分かる」という意味は、「私は、いまのあなたの気持ちの○○というところに、同じ思いを感じ

」というように、とにかくその部分について寄り添うということではないでしょうか。

話を聴いて『あなたの気持ちが分かるなあ』=『あなたの気持ちを分かち合う』ということと考えます。

では、どうすれば『分かち合う』ことができるのでしょうか。

そのために、まずは人の話の聴き方について考えることが大切ですよね。

 

その3 「話し上手っているけど、聴き上手もいるの?」(ここから新着)

学校での教師と生徒の関係ばかりでなく、私たちの一日には「話す」「聞く」という行動が数多くあります。

「地下鉄でどの電車に乗ると良いかを駅員に尋ねる」「会社のミーティングの時刻を尋ねる」「レストランでラAランチとBランチ

の違いを尋ねる」「遠方にする母親の様子を尋ねる」など、スマホで調べて自分で全て納得する人もいるでしょうが、それにしても

一日のなかで、多くの人と言葉を交わすことって多いですよね。

そんな中、「私は話すことが苦手で‥」と言う人がいます。

その逆に、「○○さんは、お話が上手でうらやましい」と、私自身が思うこともあります。

でも、こんなことも考えます。

会話って、「話す」行為だけでは成り立ちませんよね。

「きく」という行為がなければ成り立ちません。

そこで、いつも漫然と人の話をきいているところに焦点を当てて、「話の聴き方」について考えていきましょう。

どうすれば、話し上手ならぬ聴き上手になれるのでしょうか?

知っておきたい知識・スキル①

 『「聴き上手」のためには、波長合わせが大切』

こんな光景を目にしたことがあります。

【中学2年生のAさんは、無口で自分から話しかけることはほとんどなく、友人たちの会話をいつもニコニコと聞いています。ですから、担任の先生ともほとんど話したことがありませんでした。そんなAさんが、ある日職員室前で担任の先生を待っていました。そこへ、前の授業での提出物をいっぱいもった先生が、階段を駆け下りてきました。「私に用?」と尋ねるとうなづきます。自分から話しかけてくるなんで、初めてのことだったので、うれしくなったAさんは「どうした?なんの用?何でも相談に乗るよ」と元気よく早口で話しかけました。すると、Aさんは、「あっ、やっばりいいです」と言い去っていき、その後相談に来ませんでした】

どう思われますか?

いろいろ?がありますが、ここでは『なぜ、Aさんは話さなかったのか』について考えてみましょう。

「無口で自分から話しかけることはほとんどなく、友人たちの会話をいつもニコニコと聞いて」いるAさんは、おそらく「先生、あ

のー」とおずおずと話す生徒かと思います。一方、先生は「階段を駆け下りてきて‥元気よく早口で矢継ぎ早に質問して」という状

況です。

おそらく、この先生はとても気のいい、生徒思いの熱心な先生かと思います。

でも、この調子で話されると、Aさんは退いてしまうのではないでしょうか。

せっかくの先生のやる気・熱心さが空回りしているように感じます。

そこで、Aさんはタジタジとなってしまい、「もういいです」と言ってしまったのではないかと思います。

また、忙しそうな先生を見て「先生大変そう」と考え、遠慮したのかもしれません。

ともかくも、Aさんは「先生とは話せない」と考えたということです。

では、先生はどうすればよかったのでしょうか。

それが「上手な聴き方のスキル」=「傾聴」です。

「傾聴」って、よく聞かれる言葉ですよね。

「傾聴」という言葉には、いろいろな要素が含まれていますが、まずは『波長合わせ』について考えます。

『波長合わせ』とは、『話す速さ』『話す音量』『話すトーン』を、相手に合わせるということです。

Aさんが「先生、あのー」に対して、先生は「Aさん、どうした」 とスピード感ありありです。

Aさんが小さな声でつぶやく感じなのに、先生は授業の続きのように大きな声です。

Aさんが静かなというかどちらかと言えば暗い調子なのに、先生は明るく元気な様子です。

先生は、明るく元気でやる気満々で、悪くありません。

ただ、この場ではAさんの話し相手として、ふさわしくないということです。

では、この場合にどうすればよかったのでしょうか。

例えば、階段を降り、Aさんの前に立ち、息を整え、落ち着いた声で、「Aさん、どうした?どんな話かな?すぐに次の授業が始ま

っちゃうね。授業後に落ち着いて聴いてもいいかな?それとも、急いで今の方がいい?」と、尋ねてみたらどうでしょうか。

おそらく、Aさんの反応は異なってくるのではないかと考えます。

そして、もちろんAさんが「後で」を選択したならば、この日の授業後に誰もいない教室で、『速さ・大きさ・トーン』に気をつけ

て、じっくり聴いてあげましょう。

 

いかがでしょうか。

何度も言いますが、先生と生徒の関係に限らず、人の話を聴く際には、「波長を合わせる」ことがとても大切なことと考えます。

 

では、それ以外はいかがでしょうか。

「気なし合う」って、口で言う言葉だけが問題ではないのでは?

そんなスキルについて、次回考えていきます。

 

※私の体調不良やコンピューターの体調不良で、間隔が空いてしまい、申し訳ありませんでした。これすらも継続していきますの

で、よろしくお願いいたします。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ

ェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。