子どもたちは、話したがっている ⑨提案「気持ちをわかる」とは「分かる」であって、「判る」「解る」ではない
いまどきの子どもたちの気持ちや考えていることについて、考えています。(詳細については以前のブログ参照)
スクールカウンセラーとして勤務していると、保護者や先生から「子どもたちが話さない」という相談をよく受けます。
そんな『話さない(と思われている)子どもたち』ですが、実は『自分の気持ちを分かって欲しい』と絶えず思っています。
そのため、子どもたちは『自分の気持ちを分かってくれそうな大人』を絶えず求めています。
では、我々大人はそんな彼等に対してどのように対していけばいいのでしょうか。
それは、ありふれた表現になってしまいますが、根気よくきちんと接することと考えます。
では、根気よくきちんと接するためには、どうすればよいのでしょうか?
その第一歩は、子どもの話をきちんと聴くこと(良い聴き手になる)ではないかと考えます。
しかし、実際に子どもたちに寄り添って話を聴いていると、(経験された方は分かると思いますが)いろいろ大変なこともありま
す。
その1 「話をきちんと聴きたいけど、同じ話がエンドレスに続いて正直疲れる」
ここで、まず知っておきたいことは『困った子は困っている子』ということです。
その上で、ではどうするとよいでしょうか?(以下の詳細は、以前のブログを参照ください)
知っておきたい知識・スキル①
『本当の困りごとは、水戸黄門の印籠と同じく、終わり10分前に出てくる』
知っておきたい知識・スキル②
『【枠】をつくってあげる方が、話しやすいときもある』
その2 「話を聴いても、気の利いたアドバイスするって難しい‥」
みなさん自身が、友人に相談したときのことを思い出してください。
友人に話したときに、みなさんは「この人ならば私の悩みを解決してくれる」と思って、相談していますか?
違いますよね。
ともかくも、「今の私の気持ちを分かって!」ではないでしょうか。
そうならば、アドバイスをするとは違いますよね。
知っておきたい知識・スキル①
『「気持ちをわかる」とは、「分かる」であって、「判る」「解る」ではない』
辞書で「わかる」という言葉をひくと(今どき、なかなかしないこととは思いますが‥)、「分かる」「解る」「判る」が出てきま
す。それぞれ、書く人の気持ち、文脈などによって違うかと思いますが、この違いを理解することが、話を聴くときのこちらの心が
まえの違いにつながると考えます。
その違いについて考えてみます。
①「判る」は、どんなときに使うのか?
「判る」の『判』を使う熟語には、「裁判」「判断」「判定」などがあります。
私たちはこれらの言葉から、どのような印象を受けますか?
例えば「あなたは無罪だ」とか「綱引きは紅組の勝ち」といったように、白黒をつけるとか何かを決めるといった雰囲気がありませ
んか?
とするならば、相手の話を聴いて「あなたの話が判る」という意味は、「あなたの悩みはそんなに大変じゃないから、そんなに気に
病まなくてもいいよ」というように、相手の話の価値を決めるということではないでしょうか。
でも、相手は悩んで話をしているのです。
それを、「大丈夫。大したことないから」と言われたら、おそらく「勇気づけられた」と感じるよりも「えっ、私のことを舐めてな
い?こんな人に話すんじゃなかった」と思う人の方が多いのではないでしょうか?
②「解る」は、どんなときに使うのか?
「解る」の『理』を使う熟語には、「理解」「定理」「理由」などがあります。
「私たちはこれらの言葉から、どのような印象を受けますか?
例えば「どうして水素が発生したか理解した」とか「三平方の定理で問題をといた」といったように、ある事柄の理由を考えるとき
に使いませんか?
とするならば、相手の話を聴いて「あなたの話が解る」という意味は、「あなたの悩みは、先週のプロジェクト会議での○○さんの
発言から、生じています」というように、相手の話の理由を決めるということではないでしょうか。
でも、相手は悩んで話をしているのです。
それを、「あのときのことが原因なんだよね」と言われても、「そんなことは私はわかっているの。そんなことを改めて聞きたくて
話したんじゃない」と思う人が多いのではないでしょうか?
③「分かる」について考えてみましょう。
「分かる」の『分』を使う熟語には、「分数」「分解」「気分」などがあります。
私たちはこれらの言葉から、どのような印象を受けますか?
例えば「リンゴを二つに分けて」とか「壊れた時計を分解する」といったように、なにかをバラバラにするときに使いませんか?
とするならば、相手の話を聴いて「あなたの話が分かる」という意味は、「私は、いまのあなたの気持ちの○○というところに、同
じ思いを感じる」というように、とにかくその部分について寄り添うということではないでしょうか。
さらに、みなさんは「分かち合う」という言葉をご存じと思います。
話を聴いて『あなたの気持ちが分かるなあ』とは=『あなたの気持ちを分かち合う』ということと考えます。
「決めつける」のではなく、「理由を考える」のでもなく、「あなたの話のここに私は共感できる」という姿勢が、話を聴くにあた
っての大切な姿勢ではないかと考えます。
そんな気持ちで、相手の話を聴いていきましょう。
では、次回は『気の利いたアドバイスって必要?』について、考えていきます。
また、お付き合いください。
※このところ、私の体調不良やコンピューターの体調不良で、間隔が空いてしまい、申し訳ありませんでした。
また、ぜひご参加ください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ
ェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。