子どもたちの置かれている状況13
彼女の話に戻ります。
新年が来ました。適応教室では、「進路選択」は学校が三者懇談を行い、具体的に進めると考えているので、彼女が登校する頻度が増えてきました。通所を始めた頃の彼女とは違い、登校することに抵抗が少なくなってきたようです。そこで、彼女に「廊下で、けんかして別れたグループのみんなと会ったら、どうするの?」と尋ねたところ「スルーするときもあるけど、おはようとかって言うときもあるよ。別にどうでもいいから」と答えました。思わず「大人になったねー」と感心してしまいました。
もっと早くこの気持ちになれていたら、「不登校」を体験しないですんだのに…と思わないではありませんが、その体験をしたからこそ、今の彼女が存在していることは確かだとも思います。歴史に「もし、たらがあったら」とはよく言われることですが、私たちはみんな1回の人生しか生きられません。現実の彼女が選んだ人生をおくられるようにをサポートすることが、周囲の人々の果たすべき役割と考えます。
結局彼女は、公立の単位制の高校を受験しました。「合格は無理」と誰もが思っていましたが、志願者がことのほか少なかったことも幸いして、めでたく合格しました。合格発表当日、中学校へ登校した後、適応教室にも合格を報告に来てくれました。たくさんの大人たちに褒められ、多くの祝福を受けました。「ありがとう」とお礼を言うこともでき、彼女は卒業して去っていきました。
そして半年。
彼女は、退学しました。
なぜ?