何ができるだろう④どうしたら、友だちはできるの?③
今回は、人と人との関わりにおいて、おそらく永遠のテーマである『どうしたら、友人ができるだろうか』『友人とどのようにかかわっ
ていけばよいだろうか』等について、考えていきます。
事例1 友人関係を長続きできない女子中学生の場合
Aさんは、中学2年生の女子。学習成績は伸び悩んでいるものの、バスケットボール部に所属し、身長の高さを生かして、試合ではポイ
ントゲッターとして活躍している。
休み時間に廊下を通るときに見かけるAさんは、級友とよく談笑している姿が印象的であり、一見何の悩みもないように思われた。
しかし、相談に訪れたAさんは「私には友人がいません」と言い、泣き始めた。
さぁ、何が問題なのでしょうか。
Aさんと話してみて、印象的だったことが二つありました。
まず一つ目は、よく言えば自分の考えをきちんと持っている。
しかし、悪く言えば他の考えを受け入れない、すなわち「こうである」と決めると、他の考えを受け入れにくいという傾向を感じまし
た。今の言葉で言えば、「こだわりが強い」ということについては、前回詳しくお話しました。
もう一つの点について、今回考えていきましょう。
それは、相手との心理的な距離感の特異性でした。
私たちが、いわゆる『本音と建て前』の違いについて意識し始めるのは、いつごろからでしょうか。
例えば、『引越ししました』というお知らせには、『お近くにおいでの節は、ぜひお寄りください』と書いてありますが、それをそのま
ま受け止めて訪問する人は、まずいません。
それは、ある意味大人として、知っておくべきお約束なのかもしれません。
子どもは、そうしたことは分かりません。
それが分からないからこそ、子どもなのかもしれません。
子どもは、相手が言ったことをそのまま受け止めれば良いと思います。
だからと言って、相手の心理的なテリトリーへ、ずけずけと踏み込めば、相手は退いてしまうか、拒絶することでしょう。
その微妙な駆け引きが、彼女は苦手です。
例えば、「友だちだから、何でも思ったことを言ってね」と言われた彼女は、「今日の服は可愛くない」と言ってしまいます。
確かにそうだったのかもしれませんが、案の定相手は気を悪くします。
彼女にしてみれば、「どうして?何でも思ったことを言ってねと言ったじゃん」と言いたいところです。
しかし、やはり『友だちでも言っていいことと悪いこと』はあるのです。
踏み込んでは、いけないことはあるのです。
他の人が言うことを、額面どおりに受け止める彼女の素直さを、大人ならば受け止められるでしょうが、同年齢の子どもではやはり難し
いと考えます。
そんな彼女が、将来社会で生きていくために、どのようなアドバイスをすればよいかーについて、次回考えます。
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