不登校について考えましょう 25 父親に気を遣う母親を見続けることで、心の居場所がなくなっていく子ども

新しい年2025年が始まりました。

明けましておめでとうございます。

本年も、さまざまなことがらについて、皆様と一緒に考えていきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

さて、昨年後半から『不登校について、下記の内容について考えてきました。(詳細は、以前のブログをご覧ください)

【不登校の基礎知識】最新データを文科省が発表!

【不登校の事例①②③④】

事例① 中学生 夏の野外学習でのトラブル

事例② 小学生 ママとおばあちゃんの関係を憂える

事例③ 小学生 同じことができない児童への反感

事例④ 中学生 不登校への困り感がない母子

 

そして、『不登校についての最後のケースとして、『小学1年生の話に感じた不自然感』から背後にある大きな問題が分かっ

てきた事例について考えています。(この事例については、別のところで以前にも取り上げていますので、ご存じの方もいらっしゃ

るかと思います。ご了承ください)

事例⑤ 小学生 母親が父親の機嫌をとることに疲れている様子を見て、周囲に気を遣う児童

<概要>小学1年のAちゃんが給食を食べてから、スクールカウンセラーのところへ話に来た。その日の給食はカレーライスとアイスクリームていうメニューであったが、児童は「食べていない」と言う。不思議に思ったカウンセラーがその理由を尋ねると‥

児童は「僕は好き嫌いが多くて、カレーのにんじんなんかも残すの。そんな僕が好きなアイスだけ食べたら、みんなはどう思うかな

と思って」と答えた。担任の先生が、Aちゃんがクラス内でいじめられたりしていないかと調べましたが、そうしたことは見つから

なかったというケースです。

当初は、『好きなアイスクリームを食べなかった』という不自然さが、カウンセラーのアンテナにひっかかり、「小学1年生なの

に、周囲に気を遣いすぎる子だなぁ」という印象を抱き、児童自身の資質によるものかと考えました。

しかし、どうしても気になるので母親との面談を設定し、この状況について話し合ったところ、その背後に大きな問題があることが

分かってきました。

児童の家庭は、父親・母親・児童の3人家族であり、父親は会社員として働き、母親はパートで働いています。

父親は、母親や子どもに対して、手を出すことはありませんが、不機嫌になると『不機嫌オーラ』を全身から出すようです。

例えば、日曜日の午後になってから「今から、みんなで動物園へ行こう」と提案することがあります。

家族そろってのお出かけは、児童はもちろん大賛成ですし、母親も嫌いではありません。

しかし、日曜日の午後になってからでは、母親は買い物等予定があるかもしれません。

児童にしても、友だちと遊ぶこともあるでしょう。

そこで、児童や母親が「わーうれしい」と喜べば、父親は満足していそいそと出かけるわけですが、前述したように、児童や母親に

何か予定があり「えっ」という表情をすると、父親は途端に機嫌が悪くなり、「もういい」と言って不機嫌オーラを全身から出すと

いった具合です。

そこで、母親が言うには「父親が機嫌が悪くなると、後が大変面倒なので、そうならないように、こちらが機嫌をとるようにしてい

ます」と話し、さらに「私が我慢する分には仕方ないことと思っていますが、この子がそんなふうに気を遣っているなんて‥これか

らのこと考えてみます」ということだった。

家庭内のことにどのように関わるかというのは別の問題でもあるので、ここでは児童への対応に焦点を絞って考えてみましょう。

ただ、このケースとよく似た悩みを抱えているお母さん方は、かなりいらっしゃるようです。

先日、ある小学校の家庭教育セミナーでお話をしましたが、その後数人のおかあさん方が「我が家もおなじように、夫の機嫌をとっ

ています」と話に来られました。

とても困難なケースでは、区役所の民生子ども課や女性相談の方と協力したり取り組んだりしたこともあります。

 

もちろん、児童本人に「家庭内のことが心配で、学校を休みがちなの?」と尋ねても、おそらく児童は「はい」とは言わないでしょ

うし、小学1年生の児童には質問自体を理解することが難しいでしょう。

しかし、周囲に気を遣うことに慣れてしまうと、『心が落ち着く、心の居場所』自体を、見出すことが難しいと思います。

そうすると、心が休まることがなく、落ち着かなくなってしまうことを想像するのは、さして難しくないですよね。

また、周囲に気を遣い、自分へのフォローが後回しになってしまうため、自分に自信がなくなり、「どうせ」といった言葉ととも

に、自分を大切にしなくなってしまうーそんな人や子を、今までよく見かけています。

今回のケースの児童の場合にも、母親と学校でよく連携をして、児童の言動を認め、「あなたのおかげで助かる」といった評価(褒

める)の活動を心掛けたいです。

そうすることで、児童の中の『自己肯定感』を高めていくことができると考えます。

またるっこしく思われるかもしれませんが、答えはそこにあると考えます。

 

そしてまた、こうしたことって、この児童だけに限ったことではないですよね。

現在のように、承認欲求が強くて、不安感を感じている人が多い社会においては、こうしたトラブルは他人事ではなく、あなたや私

の問題となっていると思います。

 

さまざまなケースについて考えてきましたが、そろそろ『不登校についてまとめていきましょう。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ

ェ】を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。