不登校について考えましょう 21
(11月17日日曜日の午後13:30~『不登校』についてのセミナーを開催します。名古屋市の地下鉄東別院駅近くのイーブルなごや です。ご都合よろしければ、ぜひご参加ください。)
今、『不登校』について考えています。
【今までに考えてきたことー不登校の基礎知識】
〇『不登校』に関する基本的なことがら(1年間に、300000人超えの小中学生が不登校!など)
〇「不登校の理由は、100人いれば100とおり」。
でも、大まかに【学校の状況に原因】【家庭環境に原因】【本人の気質に原因】が考えられる。
〇『本人の気質に原因』に分類された内容
ケース①【中2野外学習のマス掴みで生じたトラブル】を題材として、彼の気質にアプローチ+ソーシャルスキルトレーニングの練習
〇『家庭環境に原因』に分類された内容
ケース②【小4大好きなママとおばあちゃんの気持ちのすれ違いで生じたトラブル】を題材として家庭内での心の居場所の大切さの確認
+「話の聴き方」の練習
【今考えていることー学校生活でりこだわりの強い子が関係するトラブル】(詳細は以前のブログをご覧ください)
ケース③【小5こだわりの強い児童の言動が周囲に受け入れられなくてトラブル発生】
❶「ものや人の好き嫌いが激しくて、クラスの子どもたちと、よくトラブルを起こし‥」➡Aちゃんはこだわりの強い子?
❷「昼の休憩時間に、Aちゃんは運動場で、ちょっと変わった虫を発見」➡級友と遊ぶよりも一人が好き?
❸「「教室へ行こう」と何度も誘いますが、なかなかAちゃんは動こうとしません」➡好きなことに夢中になると、周囲が見えなくなる?
❹「教室へ行くと、クラスは何とも言えない雰囲気になっていました」➡Aちゃんと担任の先生の両方にクラスの子が不満を抱いている?
❺「「あーあ、勝手なことができる人はいいなあ」等と、Aちゃんに聞こえよがしに言った子たちがいました」➡Aちゃんに不満をもつ子がいる?
(学校の状況に原因)と紹介しましたが、それ以外の原因・理由・要素もからまってきて、とても複雑なようです。
でも、それが現実なのです。
そこで、複雑に絡み合った『さまざまな原因・理由・要素』を解きほぐして、一つ一つの対応策を考えていきます。
提言1 状況❶❷❸についての提言 (詳細は以前のブログをご覧ください)
『Aちゃんはこだわりの強い子?』『級友と遊ぶよりも一人が好き?』『好きなことに夢中になると、周囲が‥』に対して
提言2 状況❶❷❸についての提言 (詳細は以前のブログをご覧ください)
「魔法の杖をエイッと一振りして、改善へ向かわせるなんてことを願うのではなく‥」に対して
提言3 状況❹についての提言 (詳細は以前のブログをご覧ください)
「Aちゃんと担任の先生の両方に、クラスの子が不満を抱いている」に対して
原因は、『担任がAちゃんを特別扱いすることを、クラスの子たちが許せない』からです。
なぜ、Aちゃんを特別扱いすることを許せないのでしょう。
世間では、『多様性』と言われていますが、自分と異なる生活習慣や考え方を受け入れることって、大人でも(大人だからこそ)難しいですよね。
そう考えると、まだまだ社会体験も乏しい子どもたちが、「特別扱いを許せない」と考えるのは、成長段階を考慮すると、とても自然なことではないか
と考えます。
ですから、「みんな平等であるべきた。私たちはチャイムで席に着き、授業を受けている。Aちゃんだけが、いつまでも運動場にいるなんて許されな
い。しかも、先生が一緒にいるなんて‥こんな不公平=不正義が許されるのか!これは『ひいき』だ!」と、考えるのも何ら不思議ではありません。
先生等、周囲の大人には「Aちゃんの特質や状況を考えると、Aちゃんに配慮することは当然」と思いますが、子どもたちにはその事情がなかなか理解
されす、『ひいき』と考えてしまう現状の難しさ。
ウーム‥‥
では、発想を転換して『だれかをひいきしない』のではなく、『みんなをひいきする』としてみたら、どうでしょうか。
今回の事例を考えてみると、多くの子どもたちは「先生は、Aちゃんばかりひいき(特別扱い)している。私たちも特別扱いしてほしい」と
と願っているということではないでしょうか。
そこで、『クラスのみんな全員を特別扱いする』ことを提案します。
でも、そのためには子どもたちの様子を観察することが大切です。
その上で、「Aちゃんは○○という良いところがあるけど、なかなか夢中になると他が見えなくなっちゃうね。みんなも素敵なところもあれば、ちょっ
とねっていうところもあるんじゃない?」といった認め合いやそうした活動を続けていくことによって、温かな雰囲気が醸成されていくと考
えます。
ぜひ、そんな温かな雰囲気をつくっていきたいものです。
そして、先生もAちゃんの指導に専念するならば、クラスのことは他の先生にお願いする等、クラスの子どもたちに「放っておかれている」とい
った気持ちを抱かせない配慮は、いつも心がけていきましょう。
そして、
提言4 状況❺についての提言
「Aちゃんに不満をもつ子がいる?」に対して
多くの子どもたちは、その場ではAちゃんや先生に対して、不満を言ったり、心無い言動をしたりしても、他のことに興味関心をとられて、このトラブ
ル自体を忘れていくものです。
しかし、いつまでもAちゃんに対して心無い言動をする子には、もしかしたら別の原因があるかもしれません。
もちろん、今までの生育歴において「Aちゃんと同じ保育園にいたときにトラブルがあった」等ということがあるかもしれません。
しかし、それとは別の事情(Aちゃんに対して心無い言動をする子自身が、何か問題を抱えている)も考えられるのではないでしょうか。
こんな体験をしたことがあります。(中学校)
ある女子生徒が「先生、私の上靴がありません」と、授業後に職員室で事務仕事をしている担任のところへやってきました。この女子生徒は、もともと口数も少なく、目立たない子で、自分から担任のところへ来ることは滅多にありません。そこで、「分かった。じゃ一緒に探そう」ということになり、二人で校舎の中をさがしたところ、女子トイレのゴミ箱の中に捨ててありました。呆然と、上靴を見つめる生徒。その隣で、焦って頭が真っ白になっている担任の先生。この事例は『犯人捜しをするか?』『保護者にどのように説明するか』等、教員が注意をはらうべき問題点が多々あるのですが、今回のポイントからはずれるので、ここでは割愛します。
とてもセンシティブな問題と思いますが、先生たちの尽力で、上靴を捨てた子が分かりました。そして、その生徒も素直に謝罪し、被害者である生徒もその謝罪を受け入れて、このトラブルは終了したように見えましたが‥それから、しばらくたって「あの事件の加害者である少年は、他の少年に言われてやった」という噂が、先生たちの耳に入りました。そこで、さまざまな生徒から、加害者である生徒の交友関係について尋ねてみると、『加害者の生徒(Zくん)は、WくんXくんYくんと仲の良いグループで、休みの日もよく一緒に遊んでいる。Wくんがリーダーと言うよりはボスの関係で、Xくんはゲームを取られている』ということが分かりました。そこで、それぞれに事情を尋ねたところ、全員が『WくんがZくんに命令して、上靴を隠させた。Zくんはイヤだったが、断れなかった』ということを認めました。
そこで、次はWくんの指導に取り組んだのですが、Wくん自身に話を聴いてみると、Wくんの家庭事情の複雑さが分かってきました。Wくんは、家庭内で褒められたり認められた利することがほとんどないので、毎日おもしろくなくてついつい嫌がらせをしてしまったようです。ここから、Wくんについての指導が始まるわけです。
同じことを、考えてみました。
授業に遅れて登場したAくんに対して、いつまでも心無い言動をしている児童は、ただの「嫌な子」なのでしょうか。
今の段階では、まだ何も分かりません。
心無い言動をする児童については『一緒に遊んでいても、すぐに文句言うからこのごろは誘わない』『ママに叱れるとよく言ってるよ』等の子どもたち
情報も入ってきました。
心無い言動をする児童には、その児童なりの置かれた状況もあるのではないでしょうか。
(だからと言って、何をしてもいいということでは、もちろんありません)
そう考えると、一概に「Aちゃんにいつまでもひどいことを言わない」という指導は、逆効果かもしれませんね。
なお一層「Aちゃんばっかり、先生にやさしくしてもらって」という、その児童の怒りの火に油を注ぐことにもなるかもしれません。
Aちゃんに対して心無い言動をする児童を、頭ごなしに否定するのではなく、Aちゃんに対するのと同じように、その心情や置かれ
ている状況に想いをはせることが大切と考えます。
みなさん、いかがだったでしょうか?
次回は、4つの提言を振り返ってみます。
よろしくお付き合いください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ
ェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
10月11月の例会では、ちょうど『不登校』について考えています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。