不登校について考えましょう ⑭ 勝って喜ぶよりも、負けた相手に気を遣う小学4年生って…

(写真は、北海道富良野から見た日の出の様子です)

今、『不登校』について考えています。

今までに

『不登校』に関する基本的なことがら(不登校の定義、人数など) について

「不登校の理由は、100人いれば100とおり」であるが、大まかに【学校の状況に原因】【家庭環境に原因】【本人の質に原因】の3つに分類される について

『本人の気質に原因』に分類された内容 ケース【中2野外学習のマス掴みで生じたトラブル】を題材として、彼の気質にアプロー

するとともに、そのためのソーシャルスキルトレーニング について

みなさんと一緒に考えてきました。(以前のブログをご覧ください)

 

そして前回からは、【家庭環境に原因】に分類された内容について、考えています。

ケース【小4大好きなママとおばあちゃんの気持ちのすれ違いで生じたトラブル】(再掲ですので、文字を小さくしました)

小学4年生のAちゃんの家は、昔からの古い家なので、広い敷地の中におじいちゃんとおばあちゃんが住んでいる家があります。そして同じ敷地のなかに、パパとママとAちゃんが住んでいる新しい家があります。Aちゃんは学校が終わるとおばあちゃんがいる家へ「ただいま」と帰ります。そこで、おやつを食べるのですが、おばあちゃんはよくAちゃんの大好物のおはぎを作ってくれます。この日もおはぎだったので、Aちゃんは「やったあ」と大喜びでした。その様子を見ていたおばあちゃんが「ママはこういうものをあまりつくってくれないものね」とポツリと言いました。Aちゃんは食べ続けましたが、(心の中にチクッとしたものが残りました)その日、パパとママと三人での夕食のときに、パパが「今日のおやつは何だった?」と尋ねたので、Aちゃんは「おはぎ」と答えました。すると、ママが「おばあちゃんのおはぎは美味しいけど、ちょっと甘すぎるのよね」と言いました、Aちゃんは夕ご飯を食べていましたが、(心の中にチクッとしたものが残りました)そんな日々が続いてしばらく経った後、Aちゃんは学校をよく休むようになりました…

 

いかがですか?

どのようなことを思われましたか?

どこの家庭でも、よくある出来事かなと思います。

ママとおばあちゃん、すなわち嫁と姑間でのちょっとしたざわつき感ですよね。

Aちゃんが学校を休み始めた当初、担任の先生もご家庭のみなさんも、その原因に全く心当たりがありませんでした。

そこで、まずは「クラスのお友達と何かあったの?」とAちゃんに尋ねたり、Aちゃんの仲良しの子たちに「Aちゃんが、誰かに嫌なことを言われた

り、されていたりしたのを見たことある?」と尋ねたりしましたが、それらしい出来事を見つけることができませんでした。

お家の方にも「誰かに意地悪されたとか、聞いてますか?」と尋ねたり、「習い事(スイミング)のお友達と喧嘩したりしましたか?」と尋ねたりもし

ましたが、こちらも原因らしいものを発見することはできませんでした。

そして、Aちゃんが(私が勤務している)子ども相談適応教室へ、お母さんと一緒にやってきました。

見学の時から「ゲームがあるよ」等とはしゃいでいましたが、通所希望のインテークの時にも、「お願いします」と礼儀正しく、にこにこと愛想よく答

えてくれました。

こちらの質問に対しての応答からも、「学校休みがち」の原因らしいものは見受けられませんでした。

ただ、礼儀正しく「ハイ」と答える・愛想よく笑顔でいること等に、「いい子だね」という感想とともに「この子疲れない?」という疑問も感じまし

た。

そして、通所が始まり、ボードゲーム等でプレイセラピーを続けていたところ…

自分が勝つと「やったあ」と喜ぶものの、すぐに負けた私を気遣って「あっ、ごめんね」と言うのです。

私はびっくりしました。

小学4年生に気を遣ってもらうとは、思ってもいませんでした。

また、適応指導でAちゃんと一緒にバドミントンをやっている相談員さんからも、「私とバドミントンをやっていても、勝って喜ぶというよりは、負け

た私に気を遣いますよ」との報告がありました。

さらに、通所している子どもどうしでウノをやっても、周囲を気遣う様子がよく見られるようです。

ここに、Aちゃんを理解する一つの手がかりがあるように思いました。

そこで、Aちゃんとの次の相談の際に、『昨日(登校していた)、何をしたか』について詳しく尋ねました。

SC「Aちゃんは、学童へ行っていないよね。学校から帰るとどうするの?」

A 「おばあちゃんの家へ行って、おやつを食べるよ」

SC「どんなおやつがあるの?」

A 「昨日はアイスクリームだった」

SC「いいねえ。アイスが一番好き?」

A 「ううん。おはぎ」

SC「へぇ、私もおはぎ好き。おいしいよね」

A 「おばあちゃんが自分でつくるんだよ」

SC「すごーい。美味しいんだ」

A 「すごくおいしい」

SC「ママもつくってくれることあるの?」

A 「ママはお仕事してる。ママのおやつはケーキ」 

SC「ケーキもいいなぁ。ママは、おはぎとかあまり好きじゃないのかなぁ」

A 「わかんない。でも、おばあちゃんのおはぎは甘すぎるってよく言う」

……………

ここまで、読んでいただいてどんなことを思われましたか?

私は、『Aちゃんの周囲への年齢不相応の気遣い、さらに登校しぶり』の一因が、これではないかと思いました。

みなさんは、どう思われましたか?

次回、その訳と対処について、考えていきましょう。

次回もよろしくお付き合いください。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ

ェ】を開いています。

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