不登校について考えましょう ⑫SST(無視されたから、学校行きたくない)のケース
(写真は、北海道富良野から見た日の出の様子です)
今、『不登校』について考えています。
『不登校』に関する基本的なことがら(不登校の定義、人数など)については、初めにお話しました。
その後、ケース【中2野外学習のマス掴みで生じたトラブル】を題材として、いくつかの視点から、考えてみました。
一方、「不登校の理由は、100人いれば100とおり」です。
ただ、大きく【学校の状況に原因】【家庭環境に原因】【本人の気質に原因】の3つに分類されると考えています。
そこで、今は【本人の気質に原因】を切り口として、ケース【中2野外学習のマス掴みで生じたトラブル】に迫っています。(以
上、詳細については、今までの記事をご覧ください)
彼(不登校傾向の中2男子)の行動を振り返ってみると、『社会性』、『想像力』、『コミュニケーション』が育っていないことが分か
てきました。
そこで、そんな彼の特質に対しての、アプローチを考えてみました。
1 彼も、みんなも大切にしたいから「緊急避難」(内容については、以前のブログをご覧ください)
2 彼の特質自身への取り組み【ソーシャルスキルトレーニング】(内容については、前回のブログをご覧ください)
今回は、その【ソーシャルスキルトレーニング】の練習です。
では、一緒に練習してみましょう。
練習①小学6年生の女子仲良し三人組。Aさんが朝登校したら、教室のカーテンのかげにBさんCさんがいて、話していた。そこで、Aさんは「おはよう」と声をかけたけれど、相手からは何の反応もなかった。そこで、Aさんは、「私は無視された。私はいじめられている。もう学校へ来たくない」と、スクールカウンセラーの私のところへ、相談に来ました。
小学校高学年女子の相談としては、とてもよくある事例と思います。
この年代の女子の傾向として、「友だちはわたしだけのもの」「チャムという強い、排他的な仲間意識」が挙げられます。
ここで、気を付けたいことは、即座に『イジメからの不登校』と、この相談を決めつけることです。
確かに、その可能性はあるでしょう。
そして、『イジメは早期発見、早期対応』も本当です。
でも、まずは落ち着いて児童の話を聴きましょう。
この事例では、以下の流れを考えます。
① 状況を詳しく聴いて、「どうして欲しかったか」「あなたならば、どうするか」を一緒に考える。
児童の思いを生かして、ロールプレイをして、実践してみる。
② ①をしてみても、上手くいかなかったら、今の友人関係を考え直してみる。
児童の状況を考慮して(中学校受験をして、周囲とは違う学校へ行く等)、『友だちがいなければ』という思い込み(呪縛)を
見直す。
ここでは、①について考えます。(②については、後日取り組む予定です)
❶「朝のあいさつの後、今日一日どうだったの?」と尋ね、「普通に授業をうけていた」との返答ならば、「偉かったね。朝ショ
ックを受けても、きちんと一日すごしたんだね。とても立派だったと思うよ」と、児童を認める。
❷「朝の様子を、詳しく聴かせて」と言い、教室の様子を図に書いたりして、児童の説明を聴く。「カーテンのかげということ
は、聞こえてなかったという可能性はある?」「教室はうるさくなかった?」等と、児童に客観的に出来事を振り返らせてみる。
※ここで、「大したとこない。大丈夫」という方向に、安易に児童を誘導しないように気を付けたい。
❸「このことだけから、無視されたとは断定できないと思う。あなたは、どうしたい?どうしてみる?」と尋ねる。
児童の気持ちが落ち着いてきたならば、ここで周囲とのかかわり方の練習(SST)を実施する。
『あいさつに返事がなかったら?』➡『近くへ行って、もう一度おはようと声をかける』
逆に
『相手から無視されたと言われたら』➡『えっ、無視なんてしてないよ。でも、そう見えてたらごめんねと返事する』
そして、さらに級友の話を聴く、話すについて練習する。
『話を聴くときには、スマホを見たりしないで、相手をきちんと見て聴こうね』
『話すときは、相手が聞きやすいようにゆっくりと大きな声で話そうね』
といったことを、その訳を説明するとともに、児童とSCの二人で練習する。
❹「私は、このことについてずっとあなたと一緒に考えていくよ」と話す。
児童の気持ちが落ち着いていても、ましてや落ち着いていないならばなおのこと、「この相談一回で終わりではない」こと、「これ
からもずっと見守っていく」と話し、児童に寄り添っていくという姿勢を示す。
児童は、一見納得して落ち着いているように見えても、心の中に小さな種火が残っているケースをよく見かける。
そこで『私はあなたの味方だよ。ずっと支えていくからね』と支援の姿勢を示すことで、種火が大きな火事らなることを避けたい。
この段階で、『でもやっばり私はいじめられている』と児童が感じるならば、それは②の段階として対応していく。(後で詳しく)
いかがでしょうか?
前回、【やって見せ、言ってきかせて、させてみて、褒めてやらねば、人は動かじ】という山本五十六の言葉を紹介しましたが、こ
れが、【ソーシャルスキルトレーニング】に取り組む時の大切な姿勢と考えます。
一度と言わず、何度でも試してみてください。
次回は、【家庭環境に原因】のケースについて考えます。
次回も、よろしくお付き合いください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフ
ェ】を開いています。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。