不登校について考えましょう ⑧ ラベルを貼るよりも大切なことは?

(写真は、北海道富良野から見た日の出の様子です)

今、『不登校』について考えています。

『不登校』に関する基本的なことがら(不登校の定義、人数など)について、3回(①~③)お知らせしてきました。

その後、ケース【中2野外学習のマス掴みで生じたトラブル】を題材として、

④  視点 事前の本人や周囲への指導・配慮は?

⑤  視点 該当生徒だけではなく、みんなへの配慮 ➡ みんなを特別扱いしたら?

⑥⑦ 視点 彼(不登校傾向の中2男子)をもっと知りたい

といった視点から、今回のケースについて考えてみました。 ※(以前のブログをご覧ください)

 

その一方、メディアは『不登校の原因=いじめ』とよく言いますが、不登校の子どもたちの支援機関で働いた私としては、「そんなに単純じゃな

いよ」と思っています。

「不登校の理由は、100人いれば100とおり」です。

ただ、大きく【学校の状況に原因】【家庭環境に原因】【本人の気質に原因】の3つに分類されると考えています。

 

そこで、今回は⑦に引き続き、彼の特質にアプローチすることで、「彼の特質を分かろう」「分かった上でどのように支援すると良いか

を考えよう」という視点で考えていきます。

 

⑧ 視点 「彼の特質を分かろう」「分かった上でどのように支援すると良いかを考えよう」

みなさんは、【発達障害】という言葉について聞かれたことがあるかと思います。

ただ、その意味するところについては、正しく理解されていない方も多いのではないかと思っています。

「授業中に落ち着きのない子」「運動場で大好きな虫を見つけると、そこから離れない子」…確かに、それっぼいですよね。

私のところへ相談にいらっしゃる保護者の中にも、「うちの子は発達障害ですか?違いますか?」と二者択一の答を求められる方がいらっしゃい

ますが、そんな簡単に答がでることではありません。(どうしても答を求められる方は、児童相談所等で検査を受けられています)

そしてまた、そんな簡単に白黒をつけることは、当事者である子どもにとって、必要でしょうか?

実は、私は本当によく物を失くします。

夫からは「人生の1/7は失くしものを探している」と言われますが、「その指摘は正しい」と自覚しています。

 

世の中は「白か黒か」といった二者択一で決められるほど単純ではないと、みなさんもお考えと思います。

そして、私はこんなふうに考えています。(想像してみてください)

みなさんの前に、白と黒かなわちモノクロのグラデーションの世界が広がっています。

仮に、ずっとずっと左の端が『真っ白』の世界としましょう。

すると反対に、ずっとずっと右の端が『真っ黒』の世界となります。

その結果、私たちが左を見ると『白い』となりますが、右を見ると『黒い』となるわけです。

そうした物差しを、【発達障害傾向】に当てはめてみたら、どうでしょうか。

左を見たら『自分よりも発達障害傾向の弱い人』がいて、右を見たら『自分よりも発達障害傾向の強い人』がいる…そのように判断できるのでは

ないでしょうか。

そんなふうに、考えてみること…いかが思われますか?

 

ではここで、今さらながらですが【発達障害傾向とは何か】について、おさらいしてみましょう。

【発達障害傾向】が考えられる子どもの特徴としては

【社会性】【コミュニケーション】【想像力】の弱さが指摘されています。

 

では、この3つを判断基準として、彼(不登校傾向の中2男子)の行動を振り返ってみましょう。

例えば、小学校の授業中の様子からは、集団の中での行動規範という『社会性』が育っていないことがうかがわれます。

また、そうした言動をすることで、周囲の級友がどう思うかという『想像力』の乏しさも考えられます。

そして、せっかく級友たちにマスの掴み方を教えて「すごい」と褒められているのに、上から目線で言い反発されてしまうという『コミュ

ニケーション』の下手さも見えてきます。

こうしてみると、彼は【発達障害傾向】が結構強い子どもと考えられるのではないでしょうか。

 

しかし、ここではそうしたラベル貼りを目的とするのではなく、あくまでも、そうした彼とどのように関わっていくかを考えていきたいです。

次回、具体的に考えていきましょう。

みなさんも、よろしければお考えください。

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて

います。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。