不登校について考えましょう ③ 本当に悩んでいる子は、自分が何で悩んでいるかが分からない 

今、『不登校』について考えています。(以前のブログをご覧ください)

今までには、以下のことについて考えてきました。

Q1 不登校というのは、学校をどれくらい休んでいる子のことを言うのでしょうか?

Q2 今、日本全体では、『不登校』の子どもたちはどれくらいいるでしょうか?

Q3 『不登校』の子どもたちは、子どもたち全体に対して、どれくらいの割合でしょうか?

Q4 『不登校』って、昔からありましたか? 

  いつから社会問題として、取り上げられるようになりましたか?

      さらに、どのような状態を『不登校』と定義づけるのですか?

これらのQについての【お答え】等詳細については、以前のブログをご覧ください。 

 

今回は

Q5 『不登校』の原因は?

A5 100人の不登校の子どもがいたら、100の理由があり、『ズバリこれが原因』ということはありません。 

残念ながら…

しかし、これは当たり前のことであって、そんな定番の理由があれば、現在30万人もの子どもたちが不登校になることもないわけです。

しかし、「えっ、不登校って、学校でのいじめとか、先生からの叱責が原因ではないの?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。

メディアからの情報発信を中心として、「不登校の原因は、学校の対応が問題」というのが通説になっていますから…

実際、「級友からのいじめや暴言、心無い言動によって、登校できなくなった」と言われる方もいらっしゃるかと思います。

しかしながら、私は「級友からのいじめや暴言、心無い言動」は、最後のとどめとなったのではないかと考えています。

 

ここで、ちょっと想像してみてください。

(申し訳ありません。私がカット絵が上手ではないので…みなさんの想像力を頼りとします)

一枚の平らなトレイ・お盆が目の前にあると思ってください。

その真ん中に、小さなミッフィーのフィギュアが立っていると想像してください。

外界からの刺激が何もなければ、ミッフィーはずっと立っています。

しかし、そのトレイに例えばコップがコツンとぶつかったら、そのショックでミッフィーは倒れますよね。

しかし、中央で立っていたので、トレイの上で倒れています。

でも、もしミッフィーがトレイの四隅近くで立っていたら、どうでしょうか?

辛うじて、トレイの上にあるかもしれませんが、ひょっとしたらトレイの下に落ちてしまうかれしれません。

私は、この落ちてしまったミッフィーに、学校を休みがちになった子どもの姿が現れているのではないかと思います。

そして、このコツンとぶつかったコップが、「級友からのいじめや暴言、心無い言動」ではないかとかんがえています。

すなわち、コツンとぶつかったコップは、こころが不安定になっていた子どもたちへの最後のとどめになったのではないでしょうか。

ですから、同じ「級友からのいじめや暴言、心無い言動」に遭遇しても、心が安定していて(トレイの真ん中にいる)いる子どもは、何とか通常

の生活をおくれるかもしれませんが、心が安定していない(トレイの隅にいる)子どもは、トレイから落ちてしまうかもしれないわけです。

(もちろん、同じコツンとぶつかったコップへの対応にしても、各個人差があるでしょうし)

もちろん「級友からのいじめや暴言、心無い言動」にはきちんと正面から対峙すべきなのですが、それは最後のとどめであり、そこまでの過程に

おいて、『なぜ、この子の心が不安定になったのか』を考えて、支援することが大切ではないでしょうか。

そう考えると、とても「不登校の原因は、学校の対応が問題」と、簡単に原因を断定することはちょっと‥と思えてくるのです。

 

また、私が公立の適応教室で相談部長をしていたときに、『そろそろ学校へ復帰しそうな感じの子どもたち』に、「ねぇねぇ、ズバッときくけ

ど、どうして不登校になったの?」と尋ねたところ、大半の子どもたちが「ようわからん」と応えてくれました。

彼らは、適応教室へ通所の申し込みの最初の面接(インテークと言います)では、「クラスの○○たちから無視された」「担任の◇◇先生から、

私だけ厳しく叱られた」と口々に言っていたのに…です。

でも、それは当たり前で、『本当に悩んでいる人は、自分が何で悩んでいるのか分からない』ことって多いのです。

 

こうした点を、よいしょとお腹に収めて、子どもたちの悩みと向き合っていきませんか?

次回からは、さまざまな事例を基に、じっくりと考えていきましょう。

次回も、ぜひご一緒ください。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて

います。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。