【子どもの心 若者の心 そして‥】20学級ガチャ大当たり ユニバーサルデザインなクラス

このシリーズでは、「相手との関係性が深まると、何でも言える関係になる」といった思い込み(と思います)を発端として、若者や子どもた

の心の様について、考えています。(詳細については、以前のブログをご覧ください)

そんな折、SNSで『褒められたくない若者たち』という記事を目にしました。

今の若者は、『褒められたくない、目立ちたくない、埋もれていたい』との考えです。

実際、大学生と関わる中で、こうした思い・感情を感じることがあります。

実際、授業後の振り返りシートの「当たり障りのないように生きてきた」という学生の思いについては、以前にお話した通りです。

そこで、『当たり障りのないように生きる』具体的な姿について

    『教育の何が、子どもたち若者たちに、こうしたことを教えてきたか』について

そして、そうした学校での教育の抱えている問題として

            『教育が取り組む(一人を大切にする)個性と(集団を大切にする)強調性の兼ね合いの難しさ』について

考えてきました。

目下、③について分かりやすくお話しするために、ある小学生男子(発達障害傾向がある)に焦点をあててみます。

 

彼とは一昨年から関わっていますが、「自分の好きな話題になると、周囲のことが全く見えなくなって、一方的にしゃべり続ける」といった様子

が顕著に表れ、彼の言動に辟易とした他の児童と、トラブルになることがしばしば見られました。

そこで、トラブルが起こる度に、彼と話しってきましたが‥

彼には彼の理由かあり、周囲が理解してくれずに、理不尽なことを要求してくると捉えているようですが、もちろん他の子たちには、他の子たち

なりの理由があります。

そして、難しいことは双方が「自分の物差し」で判断していることです。

前回お話した、「前の席の女の子の三つ編みを引っ張った」事件にしても、彼にしてみれば深い意味はなく、「目の前の動いているものが面白か

ったので、触ってみた」ということなのですが、もともとコミュニケーションが得意ではなく、社会性もまだまだ育っていない彼ですから、上手

に説明できなかったのでしょう。

すると、先生も他の子どもたちも、彼の子とを「授業中に勝手なことをやっている困った子」と、見なしてしまいがちです。

これが、二次障害そして素行障害と言われていることの一つの事例です。

そんなことが重なり、私が出会ったころの彼は、トラブルがあるとスクールカウンセラーである私のところへ、学級の子どもたちへの不満を言い

にちょくちょく来ていました、

ところが、昨年は私のところへ来ることがめっきり減りました。

なぜだと思われますか?

それは、担任の先生が、上手に彼を受けとめてくださったからと考えます。

 

①学級の温かな雰囲気づくり

「今年の彼のクラスは当たりかも」と思ったのは、相談中にクラスの児童が給食を届けてくれた時の【心遣い】を体験したからです。

「○○くんの給食を持ってきました」と言い、二人の児童が届けてくれたのですが、その際にトレイの上にふりかけが2つ載っていたので、「届

けてくれてありがとうね。でも、ふりかけが一つ多いんじゃない?」と話しかけたところ、児童たちは「このふりかけは○○くんが大好きといつ

も言っているふりかけで、今日欠席した人の分が余っていて、他に誰も欲しいと言わなかったから、先生が持っていってあげようと言ったので、

持ってきました」という趣旨のことを説明してくれました。

彼は、「ありがとう」と言って、さっさと食べ始めているので、私からも「ありがとうね。助かりました」とお礼を言い、二人には帰ってもらい

ましたが、「今年のクラスは大当たりだ。よかったね」と、心が温かくなりました。

みなさん、いかが思われましたか。

相談をしている児童のところに、給食が届けられるということは珍しいことではありません。

児童との相談は原則的に授業時間を避けて、休み時間や給食の準備・片付けの時間や清掃の時間、そして休憩の時間に行っているので、給食の時

間になってしまうことも起こります。

その際には、同じクラスの児童や担任の先生が届けてくれるのですが、今回『相談している児童の好きなふりかけが余ったので届けてあげよう』

という担任の先生の気づき、配慮そしてその裏にある温かな心に、動かされました。

彼にとっては、居心地のよいクラスになっていくのではないかと期待したのですが、時々訪ねてくる彼の口からは、不満が次第になくなり、その

代わりにクラスでの楽しい話や面白い話(遠足で…‥が楽しかったとか、算数で△△ちゃんが受けていた等)の話が増えてきました。

そして、彼の級友からの話では「○○ちゃん(彼のこと)はまた、変なことしたけどもう慣れているし‥」「○○ちゃんが、この前後ろの掃除道

入れから出てきてびっくりしたけど、先生もみんなも受けていた」といったように、彼がクラスの中でそれなりに認められていることも、伝わ

ってきました。

私まで、とてもうれしくなりました。

そして、この担任の先生の配慮及びクラスの雰囲気は、彼だけにプラスとなっているわけではないのです。

このクラスには、家庭でなかなか面倒が見てもらえず、不登校傾向のため、遠足への参加が心配されている児童がいるのですが、先生の保護者と

の話し合いや家庭訪問、さらに遠足の同じ班になった児童たちの働きかけによって、バスが出発する時刻ぎりぎりに間に合うことができました。

級友の「よかったね。△△ちゃん(不登校傾向の児童)間に合って」という会話が、聞こえてきました。

 

いかがでしょうか。

このクラスは、(集団を大切にする)強調性が育ちつつあるのではないでしょうか。

このクラスは、○○ちゃんにも、△△ちゃんにも居心地のよいクラスでしょうが、そればかりではなくクラスの児童すべてにとって居心地の良い

クラスであり、それは結果としてクラス内に協調性が育まれており、ユニバーサルデザインのクラスと言ってもよいのではないかと考えました。

 

では、もう一つの(一人を大切にする)個性については、どうでしょうか。

このことについては、次回お話します。

次回も、ぜひご参加ください。

 

 

うした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて

います。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。