【子どもの心 若者の心 そして‥】18 個性と協調性、悩ましいところですが‥
このシリーズでは、「相手との関係性が深まると、何でも言える関係になる」といった思い込み(と思います)を発端として、若者や子どもた
ちの心の様子について、考えています。(詳細については、以前のブログをご覧ください)
そんな折、SNSで『褒められたくない若者たち』という記事を目にしました。
今の若者は、『褒められたくない、目立ちたくない、埋もれていたい』との考えです。
実際、大学生と関わる中で、こうした思い・感情を感じることがあります。
実際、授業後の振り返りシートに「当たり障りのないように生きてきた」という学生の思いについては、以前にお話した通りです。
そこで、①『当たり障りのないように生きる』具体的な姿について、まず共通理解しました。
その次に、前回②『教育の何が、子どもたち若者たちに、こうしたことを教えてきたか』について、考えました。
そのために、『今度学級でレクをやりたいけど、みんなは何がやりたい?』という質問に対して、『ドッジボールがやりたい32人 他がいい2
人』といった状況を設定してみました。現場ではよく起こることです。
そして、そうした時の解決方法の多くは、『多数者の意見が正しいのだから、少数者はそれに従うべきであり、反対するのはワガママ』だったの
では?
みなさんも、体験されたのではありませんか?
もちろん異なる意見があったとき、一つに決めるために多数決しは、とても有効な方法と思います。
しかし、その運営のやりようによっては、子どもたちの気持ちにモヤモヤ感を残すのではないでしょうか。
実際、学生たちからは「私は反対だった方けど、面倒なヤツと思われるのが嫌だったから、黙っていた」「どうせ反対しても、決まると思ってあ
きらめて、何も言わなかった」という意見がありました。
そうした子どもたちが長じて『当たり障りのないように生きる』ようになるのは、ごく自然のことではないでしょうか。
そして、今日考えたいことは、こうした事例が過去のことだけではないとのでは?ということです。
ラグビーなどでよく言われ、今や市民権を得ている言葉として、「One for All All for One」があります。
みなさんご存じのように「一人はみんなのために みんなは一人のために」です。
でも、ご自分の歴史を振り返ってみてください。
「みんなのためにガンバレ」と言われて、学校行事などで頑張った体験を多くの方はお持ちかと思いますが、「みんなで一人のために頑張ろう」
という体験ってなかなかないのではありませんか?
あるとしても、圧倒的に両者のバランスが崩れているように思えてなりません。
そのことについて、すなわち③(一人を大切にする)個性と(集団を大切にする)強調性の兼ね合いについて、考えてみましょう。
(「One for All All for One」の両立を目指します)
学校では、さまざまなことがらについて調査をして、市町村教育委員会➡都道府県教育委員会➡文科省という順に情報(「不登校」「いじめ」
等)が集まり、翌年の夏に「前年度の○○の調査結果」として、発表されます。
このデータによって、「不登校」や「いじめ」等の実数の多さを知り、社会が驚くという構図が毎年繰り返されています。
そのうちの一つとして、「配慮を要する子どもたち」の統計があります。
20世紀の終わりごろから、学校現場では「ちょっと落ち着きのない子が増えてきた」「なかなか指示が通りにくくなってきた」等という、「な
んだかよく分からないけれども、子どもたちが変わってきたように感じる」という、教職員や保護者の意見が聞かれるようになってきました。
そして、(重い腰を上げて?)文科省が調査したところ、驚く数字が出てきたので、急遽対策が考えられることとなりました。
いわゆ『発達障害』という言葉が、人々の口に上るようになったわけです。
私自身は、そのころいわゆる市立の『適応教室』で相談部長として勤務していました。
そして、そこへ通所する子どもたちの様子から、子どもが抱えている『こだわりの強さ』や『コミュニケーションの不得手さ』といったものを、
毎日の体験から学ぶことができました。
そして、その時に「ここならば、一人一人の個性を大切にするために、周囲が配慮して言葉がけをしたり、彼等の反応をゆったり待つことができ
るけれど、学校という多人数の集団の中では、苦しいだろうなぁ」と感じました。
それは、学校という、学級として同時に多くの子どもたちを相手にしている場所では、一人一人との個別対応とともに、集団としてのまとまりも
必要になってくるからです。
さらに言うならば、集団の中でこそ学べることもあると考えるからです。
では、どうすればよいのでしょうか。
『一人一人の個を育てる』(個性)とともに『学級全体という集団を育てる』(協調性)を育てるためには、どうすればよいのでし
ょうか。
次回、私が取り組んできたことをお話します。
次回もぜひ、ご参加ください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。