【友だちという呪縛~ボッチ上等~】21 「空気よまない」って言われるのは怖い
現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。
中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題は、
決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。
そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。
「私を助けて」と訴えることができない子どもたちの背景・環境について考える。
子どもたちの状況1 思春期の発達段階について (詳細は以前のブログ参照)
① 身体の急激な変化
② 心の急激な変化
③ 他者との関係性の変化
子どもたちの状況2 対人関係形成力の低下 (詳細は以前のブログ参照)
① 狭い閉じた小集団の一員となる
② 小集団の中で、同調的な関係が優先される
そして、前回からもう一つの視点で考えています。
子どもたちの状況3 子どもたちを取り巻く環境の変化
① 日本社会のピアプレッシャー
私たち日本人が、そのDNAに刷り込まれているかのような、周囲と同じことを要求される傾向について、前回説明しました。
そして、子どもの世界は、大人の世界と決してかけ離れてはいないのです。
こうした日本社会の傾向?雰囲気?について、具体的な例として、大学生からの2つの意見を前回の最後に紹介しました。
❶ 私は昔から空気を読んだり、集団行動をしたりといったことが苦手だったので、中学校のクラスでも、みんながまとまって行動しているとき
に、別のことをしているというようなことがよくあった。そのせいで、クラスメイトから疎まれることは仕方ないと思っていた。
❷ 協調性と同調圧力について深く考えさせられた。学校という集団生活をおくる上で、協調性は必要不可欠なものであると思うが、それが時に
は同調圧力になつてしまうことを知り、とても難しい問題だと思った。私自身、日常生活の中で人と違う言動をする勇気がなく、いつも誰かと行
動したり、考えを一緒にしたりしてしまう。
みなさんは、あなたはどちらの意見に自分と似たものを感じられたでしょうか?
将来教師になる、または教職資格を取りたいと考えている学生たちが受講しています。
私は現在、彼等に『特別活動』と『生徒指導』という教職科目2種類を教えています。
学部学科を超えた科目になるため、土曜日の朝や週日でも4,5限という(今の時期では、終了時には外は真っ暗になっています)、なかなか学
生にとっては(教師である私にとっても)ハードな時間帯の設定ですが、ほとんと欠席もなく熱心に取り組んでいます。
そして授業の終わりには、彼等は『振り返りシート』の提出をすることになっています。(このシートの提出が単位になります)
私が、そのシートに朱書きをして返却する、またールカウンセラーをしているということから、この振り返りシートには、授業内容への思い・感
想ばかりでなく、個人的な悩みも多数見られるようになっています。
その中に、上記の2つの意見がありました。
みなさんは、どのように思われましたか?
私は、この記述をした学生さんばかりでなく、今を生きている若者の『生きづらさ』を感じます。
これを読んでくださっているみなさんが、昭和の方ならば、思い出してみてください。
みなさんが、小学生の頃、ちょっと風変わりな子ってクラスにいませんでしたか?
「○○ちゃん、何か変なことしてる。でも、まぁ○○ちゃんだから、まっいいか」とスルーされていたことってなかったでしょうか。
しかし、現在は「○○ちゃんって、変」と言うよりも、「○○ちゃんって、みんなと違ったことして‥空気読まないよね‥」と言われてしまうこ
とに、不安を感じている若者は決して少なくありません。
そんな風潮の中では、❷の記述をした学生のように、『人と違う言動をする勇気がない』となることは、言わば必然と言えるかもしれません。
そんな彼らが、『就活』を前にして「君は一体何をやりたいんだ?」と指導教官や就職担当者から尋ねられても、「私って一体何をしたいの?」
と呆然としてしまう姿には、同情してしまいます。
みなさんは、あなたはどう思われますか?
彼等へのサポートについて、考えていきたいと思います。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。