【ユニバーサルデザイン】コミュニケーションが苦手な人との上手な関わり方【発達障害(碍)傾向に目を向けて】

どのように関わっていくか①(以前のブログをご覧ください)

どのように関わっていくか②

ある中学1年生のケースです。(以前のブログをご覧ください)

第一に考えたいことは、この子自身への対応です。

このイライラ度の限界は、個人によっても、その場の状況によっても異なると考えます。

それを、「みんなだって我慢している。じっとしていなさい」は、無理なのです。

 

そこで、二つの方策についてお話しました。

まず一つは、その子が優れている点・得意なこと・興味関心が強い内容に目を向けて、活躍の場を与えるという手法です。

前回までに、彼の理科が好き・得意な点に目を向けて、担任の先生が彼を『実験助手』に任命し、彼は生き生きと活動していることをご

報告しました。

ただし、これで全てがうまくいくはずはなく、イライラが嵩じて衝動的になる場面は、時々現れます。

二つ目として、その時には、よく言われる『シェルター・クールダウンの場所を設定する』という方策をとります。

 

次に、その子の周囲への対応を、考えましょう。

私たち大人もそうですが、子どもたちも一人で生きているわけではありません。

私たち日本人の特徴かと思いますが、『自分と異なることをする子ども・人』に対する目は、この頃厳しさが増してきたように感じま

す。

ですから、『授業中にイライラして立ち歩く子ども』に対しては、級友から厳しい目が向けられることは、何ら不思議ではありません。

そこで、前回にもご紹介した、担任の先生の言葉のもつ意味の大きさが分かります。

 

先生はクラスの子たちに‥

「みんなの中には、いろいろなみんながいるよね。足の速い私・ご飯を食べるのがゆっくりな私・おしゃべり好きな私・静かなところが好きな私等、どれがいいとか悪いとかってことじゃないよね。○○ちゃんは、みんなも知っているように、理科の実験とかってすごく得意だよね。でも、長くじっとしていると気持ちが悪くなっちゃうんだよね。それって、○○ちゃんがいいとか悪いとかってことじゃないよね。そんな時には、教室と別のところで気持ちを落ち着けたら、教室へ戻ってきてもいいよと、先生は○○ちゃんに言ったけれど、みんなは納得してくれるかな」

と話されました。

 

さらに先生が「みんなそれぞれ得意なこともあれば苦手なこともあるね。みんな一緒だね」と話されることで、お互いを認め合

う雰囲気が高まり、彼ばかりでなく誰にとっても居心地の良いクラスが成長始めました。

 

これは、いわゆる【ユニバーサルデザイン】の考え方ではないでしょうか。

『発達障害傾向』の子への配慮が、その子のみならず、学級の全ての子どもにとって『よりよい』、ユニバーサルに配慮になっていると

考えます。

今までどちらかというと、先生方は「発達障害傾向の子どもに対して、他の子と違って、どのように対応すればよいのだろう」と考えら

れていたかと思いますが、(もちろん特質に応じて、危険なことは回避したりはしますが)、一人を尊重する考えや姿勢を大切にするこ

とは、他の子どもを尊重する考えや姿勢にもつながっていくということを、忘れずにいたいものです。

 

 

こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】

を開いています。

リアルでもOnlineでも開催しています。

詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。