特別編 小学生1年男子と話し合って【いただきますって、どうして言うの?】

現在、私はスクールカウンセラーとして勤務しています。

中学校の教員として、また大学の非常勤講師として、若い世代と長い間関わり合ってきましたが、今目の前にいる子どもたちの抱えている問題

は、決して【子ども】だけの問題ではなく、私たちの社会が抱える問題そのものではないでしょうか。

そこで、『子どもたちの相談』を切り口として、私たちを息苦しくさせている『何か』に迫っていきたいと考えます。

 

さて、昨日とても感動する体験をしました。(そこで、今回は特別編です)

昨日は、スクールカウンセラーとして小学校へ勤務していますが、ときどき教室へ入れない1年生男子と、お話したり勉強したりしています。

昨日は、『学校生活アンケート(QUと言われているものです)』への回答をきっかけにして、彼の近況を聴き、その後『ひきざん』を練習し

て、タスク完了したのですが、心動かされる体験はここからでした。

私が、「今日の給食は嫌だなぁ。私はチキンが苦手なの」と言ったところ、チキンナゲット大好きな彼は、「どうして?」と尋ねてきます。

そこで、『小さな頃に首を絞められて殺された鶏を見たから』と説明したところ、彼はますます興味津々となってきました。

そこで、【生命】について知るよい機会と考え、彼とお話をしていきました。

私 「チキンナゲットもマックも大好きだよね」

彼 「大好きだよ。昨日もマック食べた」

私 「チキンナゲットは鶏さんのお肉で、マックは牛さんのお肉だよね。そのお肉はどうしているのだろう?」

彼 「どうしているの?」

私 「それは、鶏さんを殺したり、牛さんを殺したりして、そのお肉をもらっているんだよ」

彼 「そんなこと知らない」

私 「そうだよね。私たちの知らないところで、だれかがこうしたことをしてくれているんだね」

彼 「見たことない」

私 「そうだよね。だって小さな子がそんなところ見たら、泣いちゃうかもしれないよね」

彼 「うん、泣いちゃう」

私 「だから、私たちの知らないところで、大切なお仕事をしてくれてる人がいるってことだよね」

彼 「そう思う」

私 「では、私たちにできることは、何かないかな」

彼 「‥‥」

私 「ほら、ご飯を食べる前に何って言う?」

彼 「いただきますって言うよ」

私 「そうだよね。あれは鶏さんや牛さんや、魚さんもかな。野菜さんもだね。みんなの命をいただきますって言っているんだよ(異論もあるか

  もしれませんが‥)」

彼 「そうなんだ。始めて知った」と、ちょっと興奮気味。

私 「だからね。せっかくみんなの大切な命をもらっているのだから、いい加減にしては申し訳ないよね。大切に食べたいね」

彼 「うん、そうする」

といった会話をしました。

それまで、中学生・高校生・大学生とは関わってきましたが、小学生とは昨年からかかわってきた私にとっては、とても心洗われる体験となりま

した。

よく『乾いた砂に水が吸収されていく』という言葉を聞きますが、まさしくそうした情景を目の当りにしました。

それだけに、彼を愛おしく思うとともに、教育の大切さをひしひしと感じました。

みなさん、いかが思われるでしょうか。

 

次回からは、以前の連載に続きます。

また、よろしくお付き合いください。