不登校について考えましょう ④ コミュニケーションが苦手なために生じたトラブル
今、『不登校』について考えています。(以前のブログをご覧ください)
今までには、以下のことについて考えてきました。
Q1 不登校というのは、学校をどれくらい休んでいる子のことを言うのでしょうか?
Q2 今、日本全体では、『不登校』の子どもたちはどれくらいいるでしょうか?
Q3 『不登校』の子どもたちは、子どもたち全体に対して、どれくらいの割合でしょうか?
Q4 『不登校』って、昔からありましたか?
いつから社会問題として、取り上げられるようになりましたか?
さらに、どのような状態を『不登校』と定義づけるのですか?
Q5 『不登校』の原因は?
これらのQについての【お答え】等詳細については、以前のブログをご覧ください。
今回は、前回お話した
Q5 『不登校』の原因は?
A5 100人の不登校の子どもがいたら、100の理由があり、『ズバリこれが原因』ということはありません。
について、もう少し深堀りしていきたいと思います。
Q6 『不登校』の原因は、複雑なのですか?
中には、とてもシンプルなケースもありますが、さまざまな要素が絡まり合って複雑になっているケースが多いというのが、公立の適応教室で相
談部長をしていた体験からの、私の実感です。
では、そんな状況について、考えていきましょう。
『100人いれば100の理由』とは言うものの、大きく3つに分類されるかと思います。
それは、『学校が原因』『家庭が原因』『本人の気質が原因』の3分類です。
もちろん、これらが単独で原因となっているケースは少なく、複雑に入り組んでいるケースが大半であると考えます。
例えば、次のケースをどのように思われますか?(実際に私が遭遇した件ですが、プライバシー保護のため、情報を少し変えてあります)
ケース①【学校を休みがちだった中学2年男子生徒が参加した野外学習でのトラブル】
Aくんは、小学校の頃から、授業中に立ち歩く等落ち着きのない行動がよくある生徒でした。
しかしながら、大半の子どもが保育園時代からAくんの言動に慣れていたので、小学校ではそれほど大きなトラブルは起こっていませんでした。
けれども中学校では、もう一つの小学校の子どもたちとともに生活するわけです。
すると、「先生、Aくんは授業中に立っても、どうして叱られないのですか?」という、この年頃の子どもとしてはよくある質問が出てきます。
それは、質問という形をとっていますが、おそらくはAくんに対してのクレーム、さらにはAくんを叱らない先生へのクレームというのが真意で
しょう。
そこで、Aくんは登校を渋るようになり、次第に欠席が増えてきました。
そして、2年生の夏休みに、Aくんたちの学年は野外学習へ出かけることとなりました。
担任の先生は、「Aくんもぜひ連れていきたい」と考え、4月当初から「Aくんが少しでも親しい生徒と同じ班や係になれるように」と配慮した
班編成や係分担を工夫してきました。
クラスの子どもたちからの働きかけもあり、Aくんはクラスのみんなと一緒に野外学習へ参加しました。
先生たちの心配をよそに、2日目の夜まで無事に過ごすことができました。
そして、3日目の午前中は、川に入って『マス掴み』をします。
実は、Aくんの家庭はよくキャンプに出掛けているので、Aくんはこうした活動が結構得意なのです。
そこで、他の生徒たちとりわけマスを掴めない子どもたちに、Aくんがアドバイスをする姿が見られるようになってきました。
生徒たちからも「Aくん、教えて」と声がかかり、Aくんもまんざらでもない表情で教えています。
担任としては、予想もしていなかったことで、「良かったなぁ」と喜んでいました。
ところが、もともとコミュニケーションが苦手なAくんは、相手の気持ちを考えた言葉がけをすることが不得手です。
そこで、ついつい「こんなことできないの?」等と、上から目線で話しかけてしまうのです。
それが何度か繰り返された結果、数人の生徒が怒って「学校休んでいるヤツに言われたくないよ」と言ってしまいました。
すると、Aくんの顔色が変わり「帰る」と叫び始めて、収まりません。
そこで、急遽保護者に引き取りにきてもらうこととなりました。
その後、2年生の終わりまで、Aくんは登校してきませんでした。
このケースの問題点は何でしょうか?
Aくんの不登校の原因は、何だと思われますか?
私たちとしては、どうすればよかったのでしょうか?
これからどうすれば良いでしょうか?
次回、一緒に考えていきましょう。
ぜひ、ご参加ください。
こうした身近な問題をもとに、参加者全員で話し合ったり、ロールプレイでスキルの練習をしたりする会【コミュニケーションカフェ】を開いて
います。
リアルでもOnlineでも開催しています。
詳しくは、このHPのトピックスをご覧ください。